写真1●日本IBMの塚本眞一ソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部長
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写真2●DB2 V10.5の製品紹介で見せたデモの概要
写真2●DB2 V10.5の製品紹介で見せたデモの概要
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写真3●日本IBMのヴィヴェック・マハジャン ソフトウェア事業担当専務執行役員
写真3●日本IBMのヴィヴェック・マハジャン ソフトウェア事業担当専務執行役員
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 日本IBMは2013年4月4日、同社製データベース管理ソフト「DB2」の新版である「DB2 V10.5」を発表した。

 アーキテクチャとして行形式の表と列形式の表(カラムストア型の表)を同時に扱える「ハイブリッド型データベース」を採用。通常の業務トランザクション処理に使うデータベースと分析処理向けのデータベースを、1つのデータベース環境内に共存できるようにした。行形式の表からカラムストア型の表を作成する際には、表定義に命令を追記するだけで済むという。

 データを参照するための情報系システムを構築する場合、業務トランザクションが発生する基幹系システムとは別に設置することが通常だが、V10.5の新アーキテクチャを使えばその必要がなくなるという。日本IBMの塚本眞一ソフトウェア事業インフォメーション・マネジメント事業部長は、「情報系システムを別途構築するのにかかる初期投資や運用コストが削減できるため、特に中堅・中小企業に適した製品だ」と説明する(写真1)

 このアーキテクチャと併せ、カラムストア型の表を圧縮する技術、圧縮したデータを高速に扱えるようにする技術、並列処理、ベクトル処理など複数の技術を組み合わせることで、データの集計・分析処理を高速にしたという。こうしたデータの高速処理技術を「BLU(ブルー)アクセラレーション」と呼んでいる。

 記者発表会では、BLUアクセラレーション技術を使ったデモを見せた。DB2管理下にある売上明細のデータベースから分析ソフト「SPSS」を使って、店舗別の商品売上高のレポートを出力する、という内容である(写真2)。表の件数は明細が1000万件、商品が1万件、店舗が100件。従来の表形式を使った場合は出力までに59秒かかっていたが、カラムストア型の表およびBLUアクセラレーション技術を使うことで2秒で済むという。IBMは、従来に比べてリポートおよび分析が8倍から25倍高速になるとしている。

 日本IBMのヴィヴェック・マハジャン ソフトウェア事業担当専務執行役員はV10.5の発表を「今年、最も重要な発表だ」と位置づける(写真3)。「(V10.5は)リレーショナル・データベースにイノベーションをもたらした。ビッグデータが注目を浴びている今、顧客に対して高い価値を提供できる」と新機能をアピールした。

 V10.5の出荷は6月14日から。ソフトウエアライセンスの扱いを含めた料金体系については、後日発表する予定。