NECは2013年4月3日、ハードウエア/ソフトウエアを用途に合わせて構成済み/チューニング済みで提供する、いわゆる“垂直統合型システム”の新製品「NEC Solution Platforms」（写真）を発表した。第一弾として3分野10モデルを用意し、6月から順次出荷する。NECによれば、サーバーのインフラ導入/設定に要する期間を最大60％短縮し、コストを最大40％削減する。
製品企画/販売面での特徴としてNECは、「他社製品（主にミドルウエア）を載せるなどベストオブブリード指向であり、ユーザーをNEC製品だけで囲い込むものではないこと」と、「販売パートナーによる独自製品企画の素材として使えるなど、大規模から中小規模まで適用範囲が広いこと」---の二つを挙げる。
一方、現時点では搭載していないが、ハードウエアを構成する技術面での優位性としては、OpenFlowスイッチ/コントローラーの「UNIVERGE PFシリーズ（プログラマブルフロー）」と、I/Oをイーサネットで代替（PCI Express通信をイーサネットフレームでカプセル化）する「ExpEther」---の二つを挙げる。これらを組み合わせて使うことで、ハードウエア構成が柔軟になるという。
特定業務向けの直統合型システムの数を増やす施策も実施する。具体的には、NECのサーバー機を販売するパートナー（約550社）向けに、これら販売パートナーが取り扱う業務アプリケーションをNEC側でプリインストール/設定して出荷する支援サービス「Application Platform for Partners」を提供。この場合、ユーザー企業から見た販売窓口は各パートナーになるが、NECがバッグヤードでサーバーインフラの構築を支援する。記事執筆時点でパートナー十数社から引き合いがあるという。
データベース向け、クラウド基盤向け、特定業務向けに提供
三つの分野ごとに、（1）「Data Platform Suite」、（2）「Cloud Platform Suite」、（3）「Application Platform Suite」という垂直統合型システムを用意した。
（1）のData Platform Suite（2モデル）は、データベース専用機。Oracle製品を搭載した「Data Platform for Oracle Database」（1480万円から、税別、以下同）を、6月28日に出荷する。同製品により、構築期間を最大50％短縮できるほか、チューニングしない場合と比較してトランザクション性能が10倍以上になるとしている。また、2010年に出荷した「InfoFrame DWH Appliance」（米NetezzaのDWHソフトをNEC製サーバーに搭載した製品、価格は5300万円から）も、今回、Data Platform Suiteのラインアップに含めた。
（2）のCloud Platform Suite（3モデル）は、汎用的なプライベートクラウド基盤（サーバー仮想化基盤）。7月に出荷する2製品は、「スタンダードパッケージ R3」（2900万円から）と、「エンタープライズパッケージ R3」（3900万円から）。いずれも、2010年に出荷した既存製品「Cloud Platform Suite」の対応OSや設定項目を拡大した製品に相当する。従来比でシステム構築期間を最大60％短縮可能としている。9月には、データセンター事業者向けにファシリティーとの連携を強化した「データセンターパッケージ R2」を個別対応で出荷する。電力コストを最大30％削減するという。
（3）のApplication Platform Suite（5モデル）は、特定の業務アプリケーション専用機。7月に出荷する3製品は、グループウエア「StarOffice」を搭載した「コラボレーション基盤」（5980万円から）と、デスクトップ仮想化システム「シンクライアント基盤」（9500万円から）、およびパートナー支援サービスのApplication Platform for Partners（個別対応）である。9月に出荷する2製品は、IP-PBXと業務アプリケーションを組み合わせた「UNIVERGE ホテル業務基盤」（1500万円から）と、「UNIVERGE 客室タブレットソリューションパック」（900万円から）。
第3段落で技術的優位性として挙げた、「UNIVERGE PFシリーズ（プログラマブルフロー）」と「ExpEther」の組み合わせは、中期的なビジョンであり、現時点では搭載していません。このため、現時点では搭載していないことを追記しました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2013/04/04 14:10]
