政府のIT戦略本部は2013年3月28日、今後のIT政策の進め方を公表した。日本経済再生本部(本部長は安倍晋三内閣総理大臣)が1月に提示した指示内容「世界最高水準のIT社会を実現すべく、IT戦略の再構築をする」を受けて、IT戦略本部が検討を進めている内容の1つである。

 IT戦略本部による資料「今後のIT政策の進め方について」によれば、新たな戦略方針として「情報資源/データ立国」の実現を掲げ、4月から新戦略の素案の検討に入る。国民の健康増進、高度な社会インフラの構築などの実現に当たっては、情報資源およびデータの活用が不可欠だとしており、それを可能にするITインフラの整備と活用を通じて、「ITによる課題解決の成功モデル(イノベーションモデル)を世界へ展開」するという。

 新戦略の策定に向けて、IT戦略本部は検討するポイントを3つ挙げる。

 1つ目は、「産業再興・経済活性化への貢献(イノベーティブな社会へ)」。ここでは、オープンデータおよびビッグデータの利活用による新事業の創出、ICT活用による農業・医療分野の競争力強化や地域の活性化、中小企業のICTの活用、ICTの活用によるワークライフバランスの実現や教育の推進などを挙げる。

 2つ目は、「国民の安心・安全への貢献(レジリエントな社会へ)」。防災情報インフラの構築、医療情報を関係組織間で共有できる情報ネットワークの構築、安全性や経済性を高めたITS(道路交通システム)の推進、効率的なエネルギーマネジメントの実現といった施策がこれに当たる。

 3つ目は、「行政機能や政策効果の向上を目指した『真の行政改革』への貢献(利用者視点に立った行政のデザインとガバナンスの強化へ)」。利用者にとっての使い勝手を高めた電子行政の実現、マイナンバーおよびその情報システムに併せた業務改革の推進、サイバー攻撃や災害に強い政府情報システム基盤の構築などを挙げている。

 新戦略は5月をメドに取りまとめる。IT戦略本部が設置した「IT戦略起草委員会」が4月から新戦略の骨子や素案を検討する。IT戦略起草委員会はIT戦略本部の有識者本部員全員で構成し、委員長は政府CIOの遠藤紘一氏が就任する予定。