日立システムズは2013年3月28日、中国上海で介護施設責任者向けの「介護施設スマート化発展交流会」(主催は上海万序計算機科技、協賛は日立システムズ、復旦ソフト)を開催した(写真1写真2)。高齢者人口が1.78億人(中国第6回全国人口調査)と高齢化社会を突き進む中国で、建設ラッシュが始まった介護施設に日本の先進的なITシステム導入を図るのが狙いだ。

写真1●上海市で開催した「介護施設スマート化発展交流会」
写真1●上海市で開催した「介護施設スマート化発展交流会」
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写真2●交流会には上海市の介護施設責任者50人をはじめ、計80人以上が参加した
写真2●交流会には上海市の介護施設責任者50人をはじめ、計80人以上が参加した
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 一人っ子政策の影響で今後一気に高齢化が進む中国だが、介護用ベッド数は約315万床と大幅に不足しているため、中国民生部は第12次5カ年計画(2011年~15年)の期間に高齢者介護施設の建設を推進し、650万床にまで拡充する方針だ。そこで生まれる6兆4000億円の介護市場を狙って、今中国では介護産業が盛り上がりを見せている。日本からもニチイ学館の子会社で福祉用具の卸・販売を手掛けるニチイケアネットが2012年2月、上海に日医福利器具貿易を設立し、中国展開を本格的に進めるなど、参入が相次いでいる。

 こうした中、日立システムズは日本の介護施設で培ってきたIT技術を中国の介護施設に浸透させる考えだ。介護事業者向け業務パッケージ「GNEXT養老事業管理システム」を、中国医療向けITベンダーの上海万序計算機科技のノウハウを活用し、ティアックシステムクリエイトと共同開発。2012年6月には上海市宝山区金色晩年敬老院をモデルユーザーとして導入し、今後は上海市の介護施設や中国に進出する日系の介護事業者向けにこのシステムを販売していく。

 「GNEXT養老事業管理システム」は介護サービス管理をはじめ、業務管理、財務管理、人事管理、食堂管理など、介護施設の運営に関わる様々な管理機能を備えている(図1)。またタブレット型端末を利用することで、介護サービスの記録や介護スケジュールの管理、データ集計や各種帳票の作成も、指先一つで簡単に行うことができる(写真3)。タブレット端末を使って入居者の排泄の頻度や量、形状を記録することで、健康状態の把握や病気の予防、早期発見も可能になる。

図1●介護事業者向け業務パッケージ「GNEXT養老事業管理システム」
図1●介護事業者向け業務パッケージ「GNEXT養老事業管理システム」
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写真3●タブレット型端末の操作画面
写真3●タブレット型端末の操作画面
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