写真1●三菱UFJインフォメーションテクノロジー ITプロデュース部 部長の斉藤賢哉氏
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写真2●楽天 執行役員 兼 楽天技術研究所長 兼 開発アーキテクチャ部 部長の森正弥氏
写真2●楽天 執行役員 兼 楽天技術研究所長 兼 開発アーキテクチャ部 部長の森正弥氏
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写真3●日本IBM システム製品事業部 Linux/OSS&Cloudサポート・センター 部長の大澤隆氏
写真3●日本IBM システム製品事業部 Linux/OSS&Cloudサポート・センター 部長の大澤隆氏
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写真4●モデレータを務めた日経コンピュータの森山徹副編集長
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 オープンソースソフト(OSS)の企業向け普及促進を目指すオープンソースビジネス推進協議会(OBCI)は2013年3月26日、「主役交代、ITの未来はOSSが決める」と題するセミナーを都内で開催した。同セミナーのパネルディスカッションでは、OSSのユーザーとして三菱UFJインフォメーションテクノロジーと楽天、OSSに積極的にコミットするITベンダーとして日本IBMの担当者が参加。企業がOSSを利用することの利点や、OSSを選択する基準が話し合われた。

 三菱UFJインフォメーションテクノロジー ITプロデュース部の斉藤賢哉部長は、OSSを利用するメリットとして二つの点を挙げた。一つは導入のしやすさである。「新しい取り組みを試行したいときに、ライセンスが必要な商用ソフトを最初から使うわけにはいかない。OSSならスモールスタートが可能で、自宅のパソコンから始めることもできる」(斉藤氏)。

 もう一つは、OSSに組み込まれた先端の技術を活用できる点だ。「OSSは今や、最先端のソフトウエアアーキテクチャを牽引する存在だ。OSSが実装する先端技術を活用することは、金融機関にとっての競争優位になり得る。こうした先端技術の取り込みこそが、私の部のミッションだと考えている」(斉藤氏)。

 楽天、三菱UFJインフォメーションテクノロジーとも、大量のデータを分散処理できるOSS「Hadoop」を採用したことで知られる。そのきっかけは、いずれも「Hadoopの普及スピードに注目した」ためという。

 楽天がHadoopを採用したきっかけは、購買履歴など大量のログデータを処理するのに、従来のバッチ処理では十分な性能を実現できなくなったためという。楽天 執行役員 兼 楽天技術研究所長 兼 開発アーキテクチャ部 部長の森正弥氏は「楽天社内でも分散処理技術を開発していたが、Hadoopの普及スピードや、ユーザー会の活況ぶりを見て、Hadoopを採用した方が良いと判断した」と語る。

 三菱UFJインフォメーションテクノロジーの斉藤氏も「分散処理技術というだけならいくつも選択肢はあった」とした上で、「Hadoopほどに普及していれば、技術に精通した技術者を採用しやすくなる。それが採用を決めた理由の一つ」と語った。

 日本IBM システム製品事業部 Linux/OSS&Cloud サポート・センターの大澤隆部長は、企業がOSSを採用する上でのポイントを挙げた。一つは、OSSのコミュニティが活発かどうか。「コミュニティがしっかりしていれば、修正パッチを短いサイクルでリリースしてくれる、ソフトウエアの継続的メンテナンスが期待できるといった利点がある」(大澤氏)。もう一つは、コミュニティの公平性やオープン性といったものだ。「OSSにもいろいろ種類がある。多数の企業や技術者が参加してエコシステムを形成しているものもあれば、事実上1社あるいは数名がコントロールしているOSSもある。後者の場合、OSSがユーザー企業の思いとは外れた方向に行ってしまうリスクが高くなる」(大澤氏)。このため、多くの企業が参加し、エコシステムが健全に回っているOSSを選択するのが良いという。