写真1●Lions Wi-Fiに接続すると表示されるポータルサイトのトップ画面
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 西武ライオンズ、西武鉄道、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTTBP)、シスコシステムズ、ミライトの5社は2013年3月26日、埼玉県所沢市の野球場、西武ドームで公衆無線LANサービス「Lions Wi-Fi」を、プロ野球公式戦開幕に合わせて3月29日に提供開始すると発表した。

 西武ドームに観戦に訪れたユーザーがスマートフォンでLions Wi-FiのSSIDを選んで無線LANに接続すると、無料インターネットに接続できる。また接続時に表示するポータルサイト上で、選手名鑑やリアルタイムで更新される対戦データの閲覧、球場内の大型スクリーンに映し出されるクイズへの参加などのオリジナルコンテンツが楽しめる(写真1)。

ドーム内外に合計141台の無線LANアクセスポイントを設置

写真2●シスコシステムズの堤副社長(左)、西武ライオンズの居郷社長(中)、NTTBPの小林社長(右)
写真2●シスコシステムズの堤副社長(左)、西武ライオンズの居郷社長(中)、NTTBPの小林社長(右)
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 西武ライオンズ社長の居郷肇氏は記者会見で「球場に来てくれるファンが、快適に観戦を楽しめる環境を作るのは我々の使命。野球開催日以外のコンサートなどでも無線LANは利用できるので来場者に便利に使って欲しい」とサービスへの期待を述べた(写真2)。

 Lions Wi-Fiの特徴は、「これだけの台数のアクセスポイントで構成するスタジアムWi-Fiソリューションを導入したのは国内では初めて」(シスコシステムズ・クライアントバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーの堤浩幸氏)という高密度で設置した無線LAN環境にある。ドーム内に82台、ドーム外に59台の合計141台の無線LANアクセスポイント(AP)を設置し、「APから飛ばす電波を通常より弱めてちゅう密なスモールセルを形成するように設計した」(堤氏)。狭ビーム幅指向性アンテナを搭載したアクセスポイントとセル間の干渉を軽減するチャンネル設計で、「数万人が利用する環境でも通信速度の低下が防げる」(堤氏)という(写真3写真4

写真3●無線LANアクセスポイントでスモールセルを形成
写真3●無線LANアクセスポイントでスモールセルを形成
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写真4●スタンドに設置した無線LANアクセスポイント
写真4●スタンドに設置した無線LANアクセスポイント
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球場内にコンテンツ配信サーバーを設置

 無料インターネット接続のエントランス回線には、NTT東日本のフレッツ光回線を4回線使い、西武ドーム全体で最大4Gbpsの通信速度を提供する。オリジナルコンテンツは「西武ドーム内に設置したサーバーから同一LANを介して配信するため、動画なども高速に楽しめる」(NTTBP社長の小林忠男氏)という。またNTTBPは、3月29日から約90カ所ある西武鉄道の全駅に無線LANエリアを拡大する。当面はNTTドコモのdocomo Wi-Fi、NTT東日本のフレッツスポットなど同社のインフラを活用している通信事業者の公衆無線LANサービスを提供する。将来的には「駅の無線LANで西武ドームで開催するイベントの情報を事前に入手して、西武ドームについてもシームレスにその情報を活用できるようにするなどサービスを連携させたい」(小林社長)という。

 Lions Wi-Fiは今後、アクセスポイントから取得したユーザーの位置情報を利用したサービス、チケット予約といったサービス連携を予定している。「技術的には専用サイトで注文した弁当をドーム内の売り子がユーザーの場所を特定して持ってきたり、イニングの合間に前の回のホームランをすぐさまリプレー映像で楽しむといったサービスも可能だ」(小林社長)と、今後の展開を展望した。

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