米証券取引委員会(SEC)は現地時間2013年3月22日、昨年米Facebookが実施した新規株式公開(IPO)で生じた損失について、米NASDAQ OMX Groupの補償計画を承認したと発表した。NASDAQは損失を出した銀行や証券会社などに対して、総額6200万ドルを支払う。

 Facebookは、2012年5月18日にNASDAQ市場に上場した。当日はシステムの不具合により取引開始が30分遅れ、ブローカーが注文を確認できないなど混乱が生じた。株式の公開価格は38ドルで、取引が始まると一時は45ドルまで上昇したが、結局0.61%高の38.23ドルで終了した(関連記事:FacebookのIPO、複数メディアの反応は「期待はずれ」)。その後株価の低迷は続き、5月末には30ドルを下回り、8月には公開価格のほぼ半値に落ち込んだ(関連記事:Facebook株が一時18.75ドルに下落、公募価格の半値)。なお、過去5営業日の株価は25ドル~26ドル台を推移している。

 このIPOを巡り、FacebookとNASDAQは投資家などから集団訴訟を起こされている。Facebookは、複数の訴訟を集約するよう求める申請書類の中で、「NASDAQのソフトウエア障害によって遅れが生じ、それが円滑な取引処理に支障をきたし、株価の水準に影響を与えた」とNASDAQを批判した(関連記事:Facebook、IPOを巡る複数訴訟の集約を連邦地裁に申し立て)。

 SECは、昨年7月23日にNASDAQから補償計画を正式に受理。その後意見募集やNASDAQとの確認を繰り返して、同計画の承認を決定した。NASDAQのシステム不具合が原因で損失を被った機関などは、7日以内に補償を申請する必要がある。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、個人顧客からFacebook株式の注文を扱っている機関などがこの問題で被った損失は、合計5億ドルにのぼると見られている。3億5600万ドルの損失を出したとするスイスUBSは、全額補償を求めて仲裁手続きを申請したという。

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