写真●インテル 情報システム部長の富澤直之氏(左)、情報システム部 IT@Intelプログラム Japan and North APAC地域部長の邱天意氏(右)
写真●インテル 情報システム部長の富澤直之氏(左)、情報システム部 IT@Intelプログラム Japan and North APAC地域部長の邱天意氏(右)
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 インテルは2013年3月21日、記者発表会を開催し、同社のIT部門による2012年度の成果を発表した。同社のBYOD(Bring Your Own Device:私物デバイス活用)プログラムの対象となる私有端末は2万3500台に上り、全社の時間短縮効果は約500万時間に達したことを明らかにした。

 同社は2010年にBYODプログラムを開始しており、プログラムを利用する従業員と、その適用対象となるデバイス数は年々増えている。2011年の1万7000台から、2012年は2万3500台となり、38%の増加となった。

 BYODプログラムに参加した社員に調査したところ、1日当たり平均57分の時間短縮が実現できたことが分かった。全社の時間短縮は2012年だけで約500万時間にもなるという。同社 情報システム部長の富澤直之氏は、「仮に当社の時給が2000円とすると、100億円のコスト削減につながったことになる」とした(写真)。

 同社では、こうした私有のスマートフォンなどで利用できるモバイルアプリをIT部門で提供している。提供しているアプリは、2011年は25種類だったが、2012年には16種類のアプリを追加し、全部で41種類にまで拡大。このうち約30種類は自社で開発したアプリだという。

 例えば、「Intel Air Shuttle」は、米国などへ出張するときに航空券や自社会議室の予約ができる。また「Intel ARK」は同社の製品の仕様が簡単に調べられる。同社 情報システム部 IT@Intelプログラム Japan and North APAC地域部長の邱天意氏は、「こうした小さいツールで従業員の満足度が向上する」と説明した。

 私有端末のサポートについては、社内ソーシャルメディアによるBYODのサポートフォーラムを活用している。このフォーラムでは社員同士がサポートしたり、経験を共有したりできる。これにより、IT部門のサポートコストも減ったという。

 なおBYODプログラムの適用対象は、ほぼスマートデバイスで、パソコンは1%程度に留まっており、そのほとんどはMacだという。社内で配布するパソコンについては、Ultrabookの支給を進めており、日本のセールスグループでは100%導入を実現したことも明らかにした。

社内ビッグデータでチップの検証時間を短縮

 今回の発表では、社内でのビッグデータやBI(ビジネスインテリジェンス)の活用事例も披露した。

 事例の1つとして、ビッグデータの活用によりチップ設計の検証時間を25%短縮したことを挙げた。チップの製造工程から取得した大量のセンサー情報を全て取り込み、不必要な品質検証プロセスを見つけてテストの回数をうまく減らせたという。2012年は、試験的に1つのプロセッサー製品に適用したが、これによって300万ドルのコスト削減を実現できたという。今後は適用する生産ラインを拡張し、2013年と2014年で合わせて3000万ドルのコスト削減を達成する予定だという。

 このほか、過去の売り上げの履歴情報などから有力なリセラーパートナーを特定し、2000万ドルの販売機会を創出した事例も説明した。

 さらに同社は、ビッグデータ向けインフラとして、新たにApache Hadoopを導入したことにも触れた。従来のビッグデータ用インフラは単価が高く、処理能力も不足する恐れもあった。そうした課題を解決するためにApache Hadoopを採用したという。