写真1●開発した技術の概要
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写真2●富士通研究所 ヒューマンソリューション研究部長の柳沼義典氏
写真2●富士通研究所 ヒューマンソリューション研究部長の柳沼義典氏
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写真3●発表会場で行われたデモの様子
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 富士通研究所は3月18日、顔の動画からリアルタイムで脈拍を測る技術を開発したと発表した。専用の計測機器は不要で、スマートフォンやタブレット、パソコンなどの内蔵カメラやWebカメラで撮影した動画を、開発したソフトウエアで分析して脈拍数を算出する。

 これは、動画の色成分を基に脈拍を検出するというもの。血液中に含まれるヘモグロビンが緑色の光を吸収する特性に着目し、血流から生じる顔表面の輝度変化をとらえて、脈拍を検出する。

 具体的には、動画からフレームごとに顔領域の色成分(赤・緑・青色)の平均値を算出する。続いて、電話をしている最中など、取得したデータの中で顔や身体の動きによって影響を受けている部分を自動的に除去。最後に、緑の成分から輝度波形を抽出し、このピーク値から脈拍数を計算する(写真1)。

 富士通研究所 ヒューマンセントリックコンピューティング研究所 ヒューマンソリューション研究部長の柳沼義典氏(写真2)によると「最短5秒での脈拍測定が可能で、最大誤差は1分間でプラスマイナス3拍程度」だという。また「必要な解像度はVGA程度で、1秒間に20フレームあればいいので、計測にはパソコンやタブレット、スマートフォンに付属しているカメラで十分」と付け加えた。

 現段階では、どのようなビジネスに応用していくかは決まっていない。用途としては、自宅での手軽な健康チェック、高齢者の見守り、オフィス内での自動体調不良検知、空港やイベントゲートなどでの体調不良者や不審者のチェック、などを考えているという。