写真●可搬型のWi-Fiアクセスポイントの例
写真●可搬型のWi-Fiアクセスポイントの例
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 NECと東北大学サイバーサイエンスセンターは2013年3月18日、災害などで通信事業者の固定/モバイル通信網が利用不能になった際に、設置済みの公衆WiFiアクセスポイント(AP)を活用して相互に通信する技術を開発したと発表した。

 同技術では公衆WiFiスポットから臨時ネットワークへモードを変更できる新しいアクセスポイントを開発した。このアクセスポイントには、接続した端末からの送信データをいったん蓄積しておき、受信端末の近くのアクセスポイントに近づいた際にデータを伝達するDTN(Delay/Disruption/Disconnection-Tolerant Network)機能を搭載している。

 ソーラーパネルやリチウムイオン電池での動作も可能で、車やスーツケースなどの可搬型のWi-Fiアクセスポイント(写真)として、状況に応じて臨時ネットワークを構築できる。近接する複数のアクセスポイントを自動的にグループ化して経路制御する技術を搭載し、最大1000台のアクセスポイント間での通信を可能にした。

 さらに、端末からネットワーク認証を行う際に、あらかじめ設定した優先利用者と一般利用者を区別する機能を開発した。EAP-TLS認証方式を利用して、アクセスポイント内の認証サーバーと、優先利用者の端末内にあらかじめ発行しておいたクライアント証明書が通信することで優先利用者を識別する。これにより災害時に自治体、警察、消防からの情報を優先的に配信できる。