警察庁 生活安全局 情報技術犯罪対策課の課長補佐を務める吉田光広氏
警察庁 生活安全局 情報技術犯罪対策課の課長補佐を務める吉田光広氏
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 「ネットバンクユーザーを狙ったサイバー犯罪が相次いでいる。被害者の多くは未対策。ウイルス対策ソフトの利用やパッチの適用といった対策をきちんと実施していれば、被害の多くは防げる」――。警察庁生活安全局情報技術犯罪対策課の吉田光広課長補佐は2013年3月14日、シマンテックが開催した説明会において、サイバー犯罪の現状を解説するとともに注意を呼びかけた。

 吉田氏によれば、現在最も頭を悩ましているのが、ネットバンクにかかわる不正アクセスや詐欺。フィッシング詐欺やウイルスを使って口座情報を盗み、他人名義の口座に勝手に送金する犯罪が後を絶たないという。

 例えば、2011年の被害総額は3億800万円に上った。2012年の被害額は4900万円にまで減少したものの、2013年に入ると再び増加傾向。2013年3月時点で3000万円以上の被害が発生しているという。

 「被害に遭ったユーザーのパソコンを調べると、ウイルス対策ソフトを入れていないケースや、入れていてもパッチを適用していないといったケースが多かった」(吉田氏)。ネットバンクユーザーを狙ったサイバー犯罪では、既知の脆弱性を悪用するウイルスがよく使われる。

 このため、ウイルス対策ソフトの利用やパッチの適用といった対策をきちんと実施していれば、被害に遭う危険性を最小限に抑えられると吉田氏は強調した。