写真●テラコッタ 最高経営責任者 兼 ソフトウェア・エー・ジー グループ執行役員 ロビン・ギルソープ氏
写真●テラコッタ 最高経営責任者 兼 ソフトウェア・エー・ジー グループ執行役員 ロビン・ギルソープ氏
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 ソフトウェア・エー・ジーは2013年3月14日、同社のビッグデータ戦略について説明会を開催した。同社は事業の柱として、ビジネスプロセスプラットフォームの「ARIS」、インテグレーションプラットフォームの「webMethods」、トランザクションプラットフォームの「Adabas」および「Natural」を抱えていたが、2011年の米テラコッタ買収によってビッグデータプラットフォームの「Terracotta」が加わっている。

 テラコッタは、2003年にインメモリーデータのマネジメントソリューションを提供する企業として創業し、現在はソフトウェア・エー・ジーの100%子会社となった。同社製品は、すでに190カ国以上で250万の導入実績があるという。

 テラコッタのCEO兼ソフトウェア・エー・ジー グループ執行役員のロビン・ギルソープ氏(写真)は、他社のインメモリーソリューションと同社ソリューションの違いについて、「テラコッタのソリューションはソフトウエアを使用しており、汎用ハードウエア上で導入可能だ。また、大規模な処理をハードウエア上で行う場合に比べると、DRAMで直接処理するわれわれのソリューションでは1日かかっていたものが1秒程度で処理できるほど高速だ」と語る。

 同社は3月に、さらに高速化が進んだインメモリーデータプラットフォームの最新版となる「BigMemory 4.0」と、BigMemory上で分析やフィルタリングなどが可能となる「In-Genius」を発表している。

 同社ソリューションの具体的な活用例としてギルソープ氏は、「大手飲料水メーカーでは、ソーシャルメディアのフォロワーの行動や現在地を把握し、大規模イベントが行われた場所の自動販売機に十分に在庫が入っているかどうかを確認、リアルタイムで計画された配送ルートから供給が必要な場所へのルートに変更するといったことを行っている」と紹介した。

 インメモリーソリューションといえばSAPの「HANA」やオラクルの「Exadata」なども存在する。ギルソープ氏はこれらについて、「競合というより補完的な製品」と説明する。しかし同時に、HANAやExadataは「ハードウエアとソフトウエアが一体化しており、そのハードウエアに最適化されているというメリットはあるが、ハードとソフトを同時にアップグレードする必要がある」と指摘。

 一方でギルソープ氏は、「われわれのソリューションはどんなハードウエアでもソフトウエアでも対応できる」としたうえで、「HANAは、SAPのエコシステム内にとどまったソリューションだ。同社には多くの顧客がいるためそのようなビジネスも十分有効だが、われわれとはアーキテクチャもフォーカスする市場も異なる」と述べた。

 これまでアジアおよび日本では正式に販売を開始していなかったテラコッタ製品だが、ソフトウェア・エー・ジー 代表取締役社長の須崎弘一郎氏によると、すでに日本のユーザーが海外のサイトを通じてテラコッタ製品を購入するケースがあったという。テラコッタの成長戦略の中でも「日本は重要な地域」(テラコッタ アジアパシフィック地域バイスプレジデント グライアム・マッカラー氏)として、2013年1月より日本でテラコッタ販売部門を設立。新たな人材を投入すると共に、現在戦略的パートナーを模索中だとしている。