総務省は、昭和48年から毎年発行している「情報通信白書」(情報通信に関する現状報告)において、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を活用した参加型白書の試みを昨年から開始した。今年も、「ICTの戦略的活用でいかに日本に元気と成長をもたらすか」をテーマに、Facebookに企画のサイトを開設し、意見募集を開始した。Facebookの状況は、新たに開設するTwitter上でも適宜情報を発信する。

 この取り組みには、総務省に加えて、サイトの運営や関連イベントの企画にイデア・フロントと融合研究所が協力している。昨年から、この企画に携わる融合研究所の赤坂亮太氏に、企画の意図などを聞いた。

(聞き手は田中 正晴=日経ニューメディア

このようなことを始めたキッカケは。

 ベースには「読者参加型」の白書として、国民に情報通信をより身近に感じてもらうとともに、情報通信についての関心を高める契機としたいと考えがある。

 中身を作っている立場から言えば、インターネットが登場してきたころから、いわゆる「政治参加」の手段になると言われてはいたが、手軽に参加するにはいまだにハードルが高かった。確かに、政策を決定する過程でパブリックコメントなどで意見を広く募集するなど一定の成果はあるのは確かだが、一般の人が気軽にコメントするといった形になっていない。

 そうした中で、SNSは発展してきて、政治参加の手軽な手段として注目されれきた。そこで、この機能を使い、国政に使われる資料に掲載されるという政治参加の新しい一つの手法として取り組んでいる。

去年の取り組みの成果は。

 こういった取り組み自体がなかった、それを実施したということは、単純ではあるが大きな成果だ。いただいた様々な意見は、白書の中でコラムの形で紹介した。また、参加者からは様々な意見に触れて、自分の立ち位置が認識できて考えが深まったといった意見ももらった。

今年は、去年と違いはあるのか。

 昨年は、二つのプラットフォームを使い、共通の取り組みを行った。今年は、こうした制度論にもからむテーマにおいて、アクティブユーザーがより多かったFacebookに絞り、さらに昨年はほとんど使わなかったTwitterを広報手段として使う形にした。

 今年はFacebookのアンケート機能も利用して、より気軽に参加できるようにした。第一弾として、去年のどのニュースに関心があるのか調査している。今後は例えば、「こういう案があるが、賛成か反対か」を問う2択の質問なども行う計画。

 もちろんリアルと、Facebookで意見分布などは必ずしも同じではないことは認識している。正しいかどうかも別問題だろう。それでも、テーマに興味を持つ方の考え方を可視化できることは大きい。今年のテーマ設定が未来志向なので、ICTにかかわる関係者や利用者が描く未来像を見えるようにしたい。

最後に、読者に何かメッセージはあるか。

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 きっと、ITを使ってどうしたいというのが頭の中にあると思う。データに基づいて分析したとか、いろいろ考察したといったものでなく、本当に「こうなったらいいな」というレベルでいいので、気軽に参加してもらえると嬉しい。

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