自由民主党、公明党、日本維新の会の3党は2013年3月13日、インターネットによる選挙運動に関する規制を緩和する公職選挙法改正案を国会に提出した。長年議論が続いてきた「ネット選挙解禁」は大きな節目を迎えた。

 改正案は衆議院における議員提案で、法案提出者は平井たくや氏(自民)、佐藤茂樹氏(公明)、浦野靖人氏(維新)ら6議員。なお、参議院第1党である民主党と、みんなの党も対案に当たる公職選挙法改正案を3月1日に提出しているが、衆参の議席数などを考慮すると3党提案のほうが有力とみられる。

 改正案は今後与野党による審議を経たうえで、採決される。13日に法案を提出した3党は衆議院で多数を占めるものの、参議院では過半数に満たない。だが仮に民主・みんなとの協議が不調に終わった場合でも、それ以外の議員から賛成を得られる可能性が高く、衆参両院で可決・成立するのが確実な情勢になった。今夏に行われる参議院議員選挙から適用される公算が大きい。

電子メール・有料広告は条件付き解禁

 3党案は、インターネットを使った選挙運動に関する従来の規制を大幅に緩和する(関連記事:インターネットを使った選挙運動は認められている?)。WebサイトやTwitter、Facebookなどを使った選挙運動は全面的に解禁する。電子メールについては政党や候補者による送信を認めるが、一般の有権者による送信は禁止し、投票呼びかけメールの増大に一定の歯止めをかけている。

 有料ネット広告による選挙運動も一定の条件を設けて解禁する。ただし、無料ツールの利用に比べれば強い規制を課し、候補者の資金力の有無による不公平が生じにくいように配慮する。

 改正案が成立すれば、政治家によるネット活用が一気に加速し、IT業界で新たな需要が生まれそうだ。例えば、GMOグローバルサインは政党・政治家に対する認証サービスの提供を発表している。有権者に対して、政治家がネットで発信した情報が本人によるものか、第三者の成りすましによる“虚偽”なのかを判断するための手段を提供する(関連記事:GMOグローバルサインが政治活動向け認証サービスを開発)。

 このほか、ネットでの情報発信に関するコンサルティングや効果測定サービスといった分野の需要も高まりそうだ。