写真●iStorage HS3-40の外観
写真●iStorage HS3-40の外観
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 NECは2013年3月13日、データバックアップ用NASストレージ「iStorage HSシリーズ(HYDRAStor)」の新機種2モデル(写真)を発表、同日販売を開始した。既存モデルの後継製品であり、性能やアーキテクチャーを改善した。さらに、ユーザーサイトに設置したHYDRAStorをNEC側でミラーリングするサービスを新規に開始した。

 HYDRAStorは、NECが2007年に初版を投入したデータバックアップ用途のNASストレージである。NASノード、ストレージ増設ノード、LANスイッチなどで構成する。バックアップサーバーからはNAS(CIFS/NFS)としてアクセスする。特徴は、ノードの拡張によって性能や容量を拡張できることと、重複排除機能を備えることである。

 全2モデルで構成する。最大60ノードまでスケールアウト可能な上位モデル「iStorage HS8-40」と、シングルノード構成の下位モデル「同HS3-40」である。既存モデル(「同HS8-30」「同HS3-30」)と比べ、搭載CPUを最新のものに刷新しマルチコアに対する分散処理を最適化したことで、書き込み処理性能を最大で2倍に高めた。

NASヘッド/ストレージ兼用のハイブリッドノードで無駄を削減

 スケールアウト構成モデルでは、アーキテクチャーも改善した。従来は、最大60ノードの構成要素として、NASノード(データ格納用ストレージを備えないNASヘッド)と、ストレージ増設ノード(NASヘッド機能を持たない増設専用ノード)を組み合わせていた。これに対して新モデルでは、NASノードの代わりにハイブリッドノード(NASヘッド機能とストレージを兼ね備えたノード)を用意した。ハイブリッドノードとストレージノードの容量は同一で、48Tバイトである。

 従来は、全60ノードの構成として、NASノードが20ノード、ストレージノードが40ノードといった使い方が常識的になっていた。一方、新モデルではNASノードの代わりにハイブリッドノードを使えるようになったことで、60ノード時の最大容量を従来の5倍である論理容量37.4ペタバイト(物理容量2.8ペタバイト)に向上させた。なお、スケールアウトモデルでは、採用HDD(ハードディスクドライブ)も、従来の1Tバイトから4Tバイトへと4倍に高めている。

HYDRAStorの遠隔ミラーリングバックアップも月額制で開始

 今回の新モデルから新規に、ユーザーサイトに設置したHYDRAStorのバックアップデータをNECのデータセンター側にミラーリングするサービスを月額制で用意した。主系と副系の二系統のバックアップストレージをみずから用意することなく、ミラーリング構成でバックアップストレージを利用できるようになる。

 バックアップサービスを利用するためには、必ずユーザーサイトにHYDRAStorが設置されている必要がある。一方、NECのデータセンター側でもHYDRAStorを用意し、個々のユーザーごとに領域を確保してデータをミラーリングする仕組み。ユーザーごとに専用のハードウエアを用意するわけではない。

 新モデルとサービスの価格(税別)は、以下の通り。HYDRAStorのスケールアウトモデルであるiStorage HS8-40は、ハイブリッドノード1台で容量12Tバイトの最小構成で900万円。シングルノードモデルの同HS3-40は、容量8Tバイトの最小構成で298万円。増設ハイブリッドノード(容量は48Tバイト)は2400万円。増設ストレージノード(容量は48Tバイト)は1450万円。バックアップサービスは、初期費用が30万円、月額費用が9万円から(7Tバイト単位で課金)。