カナダのトロント大学は現地時間2013年3月12日、同大学の教授らが設立した人工ニューラルネットワークの研究企業、DNNresearchを米Googleが買収したと発表した。Googleはこの企業の音声、画像認識技術を利用し、モバイル分野のサービス向上につなげるものと見られている。

 DNNresearchは、トロント大学コンピュータサイエンス学部のGeoffrey Hinton教授が2人の大学院生とともに2012年に立ち上げた会社。人間の脳などの神経回路網の学習プロセスをシミュレートする人工ニューラルネットワークの研究を行っている。

 トロント大学によると、所属する大学院生の2人はニューラルネットワークを利用したシステムを開発し、オブジェクト認識技術を目覚ましく向上させた実績がある。GoogleはDNNresearchの買収について詳細を明らかにしていないが、米メディア(The Next Web)は、DNNresearchが製品やサービスを持っていないことから、この買収は優秀な人材を自社に取り入れる「acqui-hire」(買収と雇用)と伝えている。

 Googleは、AndroidやGoogle Glassといったモバイル分野に力を入れており、音声認識、視覚情報処理、言語理解などの技術をこれらの端末に活用するのではないかとThe Next Webは報じている(関連記事:Google、大規模人工ニューロンネットワークを用いた研究成果を紹介)。

 なお、トロント大学によるとGoogleはこれまでHinton教授の研究グループに60万ドルを寄付している。今後Hinton教授らは、Googleのトロントオフィスや米カリフォルニア州マウンテンビューの本社で勤務するが、大学の研究も続ける。

[トロント大学の発表資料]