総務省 信越総合通信局は2013年3月11日、「防災・減災のための放送・ネット利用行動計画(第二次)」の最終版を公表した。

 行動計画の第一次は、「防災・減災のための放送利用行動計画」として2012年12月にまとめられ、公表されている。このときは、長野県を対象に、災害発生時に迅速に臨時災害放送局を開局するために、コミュニティFMやケーブルテレビの事業者が市町村などの開局を支援するネットワークを形成することなどを記述した。防災行政無線の聞こえないシーンでも避難を促すことを可能にしたり、被災地の生活復旧を支える情報を提供し続けていくことが狙いである。

 第二次の計画では、こうした考えは維持しながらエリアを新潟県に拡大した。さらに、パーソナル端末に災害関連情報を直接配信することを重視して、パソコンやスマートフォンなどへの配信を具体的に実現することも念頭に、行動計画の内容を追加した。このため、行動計画の名称も「防災・減災のための放送・ネット利用行動計画」とし、「ネット」を追加した。また、パーソナル端末に災害関連情報を直接配信することを目指して、PCやスマートフォンなどへの配信プラットフォームを形成するといった内容を加えた。

 プラットフォームについて行動計画では、例えば「公共情報コモンズには、自由に伝えてもらってよい情報が入力されて、配信に一定の条件を課したい情報は入力されずに、市町村などが自らコントロールするようにする。特定の地域や事業者に限って情報を伝えるといったニーズは、特に生活復旧の段階で行政にも高まるだろうから、災害関連情報のプラットフォームを構築し、利用することで解決する」(行動計画の5-4から)と記載している。

 ネット配信事業者について「放送法上の編集責任を負わない形であり、情報の伝え方などに責任を負わない事業者にデータを委ねることを不安視する声が、市町村などにはある」「公共情報コモンズは、自由に放送や配信に利用してもらう公共の基盤であり、データを自らコントロールしたい市町村らは、自らデータを管理し、公共情報コモンズに入力するデータを選択することが課題」として、課題への対処の手段としてプラットフォームを位置づける。

 プラットフォームは、「全ての災害関連の各種情報が集まるようにするため、あらゆる自治体発の情報をいったん入力できるようにして、市町村が情報をコントロールした上で、公共情報コモンズに送り込むべき情報をそこから送り込む」といった位置づけとなる。市町村は、公共情報コモンズに直接接続する方法に加えて、形成されたプラットフォーム経由で接続するという手段が用意されることになる。

 なお、防災・減災のための放送・ネット利用行動計画(第二次)は、長野県及び新潟県の94自治体と1広域連合、59事業者と3団体が参加する計画としてまとまった。ネット配信事業者として、パスカル、ヤフー、ウェザーニューズ、Twitter Japanが参加している。

 今後は、「公共情報コモンズ」への全市町村の参加や、災害関連情報の「プラットフォーム」の形成という課題に取り組む。また、自治体の既存の防災システムなどとのシステム間連携も進める。

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