LODチャレンジ実行委員会は2013年3月7日、オープンデータのコンテスト「Linked Open Data(LOD)チャレンジ Japan 2012」の受賞作品を発表した。アプリケーション部門の最優秀賞は「SparqlEPCU WebDocManager LOD Browser」が、データセット部門の最優秀賞は「depicts.azurewebsites.net」が、アイデア部門の最優秀賞は「函館の歴史資料を用いた市民に新たな発見がある写真検索システム」が、ビジュアライゼーション部門の最優秀賞は「東日本大震災アーカイブ」がそれぞれ受賞した。
オープンデータとは、誰でも自由に利用でき再配布することができるデータ。行政や社会インフラ、自然に関するデータなどが挙げられる。Linked Open Dataとは、コンピュータで処理しやすい形式でリンクされたオープンデータを指す。
LODチャレンジは2011年に第1回が開催され、今回が2回めとなる。実行委員長は慶応義塾大学 教授 萩野達也氏が務める。授賞式はセマンティックWebコンファレンス2013内にて同日行われた。
アプリケーション部門の最優秀賞に選ばれた年岡晃一氏、藤本椋也氏、安江翔平氏の「SparqlEPCU WebDocManager LOD Browser」はLOD形式のデータセット作り、およびそれを利用したアプリ開発を促進するツール。「LODチャレンジデーの参加者から本ツールを利用したアプリ作品の応募があるなど、LOD普及促進の基盤ツールとしての可能性を有している」(審査員講評)。
データセット部門の最優秀賞に選出された松澤有三氏の「depicts.azurewebsites.net」は、既存の地理ポリゴンデータをオープンデータとして使いやすいように加工・配信するもの。「ISO/JISの地区コードを利用したアクセスしやすいURIの設計や、一部ではあるがGeoNamesとのリンクを提供するなどの『リンク』の工夫がすばらしい」(審査員講評)。
アイデア部門の最優秀賞を受賞したのは高橋正輝氏、奥野拓氏、川嶋稔夫氏の「函館の歴史資料を用いた市民に新たな発見がある写真検索システム」。「写真アーカイブの『個々の写真』に含まれるヒト/モノ/コトと歴史/文献資料をリンクすることで、場所や時間や人物などの具体的な対象を起点に、膨大な点数の写真アーカイブから新たな気付きや発見を引き出す手法が、他地域にも適用可能であり、また観光や教育など様々な分野で応用可能であることを評価した」(審査員講評)。
ビジュアライゼーション部門の最優秀賞に選ばれたのは渡邉英徳氏の「東日本大震災アーカイブ」。被災地の写真、パノラマ画像、被災者の証言、TV報道映像、ジオタグ付きツイートなどのデータを一元化し、デジタル地球儀Google Earthの三次元地形に重ね、俯瞰的に閲覧することができるWebサイト。震災発生後の時間経過に沿って、資料を閲覧することも可能。「東日本大震災という現在なお継続している問題について正面から取り上げた。この時代に生きる人間として本作品を体験できることは重要な経験」(審査員講評)。
このほか各部門で優秀賞作品が選ばれた。またデータ/基盤提供パートナー賞、審査員特別賞、スポンサー賞も選出されている。各賞の受賞作品、および作品の詳細はLODチャレンジの公式サイトに掲載されている。
写真5を追加しました。 [2013/03/09 22:37]