欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)は現地時間2013年3月6日、米Microsoftが同委員会と交わした合意に違反したとの最終判断を下し、5億6100万ユーロの罰金を科すと発表した。

 ECは2009年1月、MicrosoftのパソコンOS「Windows」とWebブラウザー「Internet Explorer(IE)」のバンドル販売が欧州競争法違反にあたるとして異議申立を行い、同年12月にMicrosoftが提案した改善策を承認して和解した。両者が合意した改善策には、欧州経済領域においてWindowsユーザーが使いたいWebブラウザーを手軽に選択できる「Choice Screen」機能を2014年までの5年間にわたって提供することなどが含まれていた(関連記事:MicrosoftとEC、WindowsとIE抱き合わせ販売の問題で決着)。

 しかしECは、Microsoftが2011年2月にリリースした「Windows 7 Service Pack(SP)1」において、Choice Screenの提供を怠った疑いがあるとして、2012年7月に調査を開始。同年10月には、Microsoftが合意に違反したとする予備的見解を示す異議告知書(Statement of Objections)をMicrosoftに送っていた(関連記事:欧州委、ブラウザー提供に関する改善策不履行でMicrosoftに違反を警告)。

 ECの調査では、Microsoftは2010年3月から11月まで合意に遵守していたが、2011年5月から2012年7月までのあいだ、1530万人のユーザーに対してWindows 7 SP1で選択画面を提供していなかった。

 米メディアの報道(New York Times)によると、EU当局がMicrosoftに科した制裁金はこれで合計22億6000万ユーロにのぼる。なお、ECが違反を確認した場合に科す罰金は年間総売上高の最大10%とされているが、今回の金額はMicrosoftの年間総売上高の約1%に相当する(米Wall Street Journalの報道)。ECのJoaquin Almunia競争政策担当副委員長は、「Microsoftは当委員会に協力的で、同社の提出する情報は効率的な調査の遂行に役立った。これが(金額の決定で)酌量された」と述べている。

 上記メディアによれば、Microsoftは同日、「この問題は技術上の過失が原因であり、全面的に当社に責任がある」とするコメントを発表している。合意不履行でECが罰金を科すのはMicrosoftが初めてとなる。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]