写真1●ローソンの佐藤達執行役員CIO兼ITステーションディレクター
写真1●ローソンの佐藤達執行役員CIO兼ITステーションディレクター
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写真2●イオンの小玉毅Eコマース事業最高経営責任者
写真2●イオンの小玉毅Eコマース事業最高経営責任者
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写真3●西友の平林浩美情報システム本部バイス・プレジデント
写真3●西友の平林浩美情報システム本部バイス・プレジデント
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 2013年3月5~8日に都内で開かれている流通業界向けのIT関連イベント「リテールテックJAPAN2013」の2日目である3月6日、小売業を代表して、ローソン、イオン、西友の情報システムやネット事業の責任者が相次いで講演した。

 ローソンの佐藤達執行役員CIO兼ITステーションディレクター(写真1)は、共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」の会員動向を分析したレポートを「2013年度から店舗に提供し始めた」ことを明かした。これを「自店ポンタ会員レポート」と呼んでいる。

 既に5000万人以上の会員がいるポンタは、会員分析が進んでおり、「ポンタ会員とそうではない人では、商品の売れ方が異なっていることが分かってきた」(佐藤CIO)。ローソンは会員情報を参考にしながら、店舗を10パターンに分類し、商品の売れ方も分析しているという。

 同時に、新商品のトライ(初回購買)とリピート(再購買)の数字に特に注目。どれがヒット商品につながりやすいかも、把握し始めている。例えば、新商品は初動から3日ほどの対応次第で、勝負が決まることが多いという。

サイト滞在時間が長い人ほど、店舗での購買金額も多い

 次いで登壇したイオンの小玉毅Eコマース事業最高経営責任者(写真2)は、「当社はネット事業では最後発。私のこの2年間の悩みをお話ししたい」と切り出した。

 小玉氏によれば、最後発だからこそ他社とは違うことをするしかないと考え、2012年8月に総合ポータルサイト「イオンスクエア」をオープンし、「物を売ることにはこだわらず、訪問者のネット滞在時間をどれだけ長くできるかを第一に考えた」と打ち明けた。

 具体的には、各種ゲームや仮想通貨を用意したのに加えて、様々なキャンペーンを展開した。日本コカ・コーラのサイト「コカ・コーラ パーク」をベンチマークし、同社に教えを受けてきたとも話した。

 また、イオンスクエアで実施した食品メーカーとの共同販促では、ゲーム性を取り入れるなどして、最終的に店舗での購買につなげる仕掛けを用意したところ、販売増を達成した案件が複数出た。「イオンスクエアをメディアの1つとして捉え始めている」と小玉氏は話す。

 イオンスクエアは既に800万人の会員を集めたが、小玉氏は「2016年度までに3000万人まで増やすのが当面の目標」だという。会員増に力を入れるのは、イオンスクエアでの滞在時間が長い人ほど、結果的に店舗での購買金額も高くなる傾向が見え始めたから。イオンファンの獲得にこそ、ネットを活用していくという道筋が見えたという。これまでイオングループでばらばらだった各サイトのIDを、イオンスクエアのIDに共通化することも同時に進めていく。