写真●木下学執行役員常務 営業ビジネスユニット長
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 NECは2013年3月4日、アジアパシフィック地域における流通・小売業向けビジネスを強化すると発表した。個人所得が高いうえに人口規模が大きく、個人消費の拡大が見込まれるタイやインドネシアなどを重点地域とし、POS(販売時点情報管理)関連ソリューションなどを売り込む。アジア・パシフィック地域全体で現在の約8倍となる売上高200億円を目指す考えだ。

 NECはコンビニエンスストアなどを中心に、3段階の販売戦略を採る。まず新規顧客向けには、省電力をウリにしたPOS端末などのハードウエアを販売して関係構築を目指す。ASEAN地域の小売業には財閥系が多く、アプリケーションを自前で構築している場合が多いからだ。既存顧客向けには、POSシステムや店舗管理などの機能をパッケージングした海外向けソフトウエア製品「DCMStar ChainStore」をセットで売り込む。さらに100店舗以上を展開する大型顧客に対しては、運用業務の受託までを狙う。「企画・開発から導入や展開、運用・保守までをフルラインアップで提供できるのが当社の強みだ」と木下学執行役員常務 営業ビジネスユニット長(写真)は強調する。

 2013年5月に、各国拠点に対して営業面・技術面のサポートを統括する専任組織「RBSC(Regional Retail Business Support Center)」をマレーシア拠点に新設する。この組織では、地域戦略の立案や各拠点向けにノウハウの展開や教育などを担う。設立当初は、各国の現地法人スタッフを中心に15人程度を集め、3年後には100人体制とする。

 RBSCが各現地法人に提供する教育メニューも整備した。営業向けには新規顧客向けのアプローチ方法など、SEや保守要員向けにはシステム導入方法や製品概要といったノウハウを「GTC(Global Traning Curriculum)」として体系化。現地法人の営業力と技術力の強化を図る。

 NECは2017年度には流通・小売業向け案件において、アジアパシフィック地域で200億円、グローバル全体で1000億円の売上目標を立てる。同業種向けの海外比率は現在10%程度だが、同じく2017年度には3~4割に引き上げるとしている。