総務省の「放送コンテンツ流通の促進方策に関する検討会」の第2回会合が2013年3月1日に開催された。この会合では、「実演家関連WG」と「音楽関連WG」が中間報告を行った。

 実演家関連WGの主査を務める城所賢一郎氏(TBSテレビ 特別顧問)は、二次利用に先駆けて実演家から前もって権利を取得する「事前許諾」の枠組みを海外展開についても活用することが権利処理の効率化につながるという考えを示した。コンテンツ中の音楽に関する権利処理については、権利処理窓口の集約など、未だに解決に向けた取り組みに着手できていないものがあるという。海外展開の事前許諾を得ることで、この問題の解決を目指す。

 事前許諾を含む番組出演に関する諸条件の内容については、「放送番組の海外展開などの目的を超えて実演家の権利を制限しないことが必要」「可能な限り実演家と放送事業者との間で書面にて確認されることが望ましい」という。事前許諾以降の権利処理については、民放事業者の見逃し番組配信サービスと同様に、映像コンテンツ権利処理機構(aRma)が管理する実演家についてはここで集中管理を行うことを想定する。「出演実演家名や所属事務所など、権利処理に必須となる諸情報が、番組放送後速やかに放送事業者からaRmaに対して提供される仕組みを急ぐべき」という。

 具体的な取り組みとしては、今後、海外展開対象番組の中から複数を特定番組として選定し、その番組で事前許諾などの権利処理手法を活用した海外展開を順次進める。一部の番組で先行して実施し、効果を検証しつつ、段階的に対象番組を拡大する。

 一方、音楽関連WGは2013年度から、レコード会社と放送事業者の個別協議により進める原盤権処理に対する支援策と一任型集中管理を組み合わせた実験を行う。2013年度をフェーズ1と位置付けて、まずはアジア地域で実験を進める。

 この実験は、ドラマおよびドキュメンタリー/情報番組を対象とし、放送番組のサイマル配信およびVOD配信までの利用を範囲とする邦盤に限定したものとなる。実験を進めるに当たり、日本レコード協会や放送事業者、レコード会社、行政機関などの関係者からなる実験協議会を設置する。個別協議による原盤権処理について、実験協議会で特別な取り組みを決め、実験の枠組みで支援する。これによりビジネス展開における促進効果および課題を検証する。

 一任型集中管理に関しては、日本レコード協会を窓口とした円滑化を図る。他国の例を参考にしつつ、許諾可能な原盤に関する情報を集約的に提供するデータベースを構築し、その有効性と円滑化効果を検証する。

 総務省は今回の実験の財源として、2013年度予算案に「クラウド時代に対応したコンテンツ流通環境整備推進事業」の財源として2.6億円を盛り込んでいる。この項目の予算を2013年度の実験の費用に充てる。