米サンフランシスコのモスコーン・コンベンション・センターで催されているRSA Conference 2013では、情報セキュリティ関連の企業や団体が、様々な展示を行っている(写真1、写真2)。日本国内でもおなじみの企業が多く、雰囲気は日本の展示会とあまり変わらない。ただ企業によっては、競合他社の製品やサービスを具体的に挙げて、性能などの比較結果を紹介している。日本ではあまり見かけない光景だ。
この会場内において一際目を引いていたのが、米国の国家安全保障局(National Security Agency)が展示する「エニグマ」の実機だ(写真3)。
エニグマとは、第二次世界大戦当時に旧ドイツ軍が使用したとされる暗号機械である。テキストを1文字単位で変換するポータブル式の機械で、1918年に開発された。
エニグマの暗号方式は、共通鍵暗号。奥にある三つの歯車(ローター)の並びを暗号鍵として使い、1文字が入力されるたびに歯車も回転することで、変換する法則が1文字ずつ変わるようになっている。さらに、手前にある電気コードのようなプラグを差し替えることで、出力結果を決まった法則で入れ替える機能も併せ持つ。国家安全保障局は、エニグマは第二次世界大戦中に解析されてしまい、旧ドイツ軍の通信内容は筒抜けだったことを指摘する説明と合わせて展示している(写真4)。