「Touch 8」でアプリ開発部門のグランプリを獲得した桑原匠吾さん
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「ジャパニコーゼ」の考案者、吉田圭汰さん。卒業アルバムの写真撮影をあきらめて、決勝大会に臨んだ
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Touch 8について説明する桑原さん。自らジェスチャーを交えながら、見事なプレゼンを披露した
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マイクロソフト ディベロップメントの社長で日本マイクロソフトの最高技術責任者である加治佐俊一氏、放送作家で東北芸術工科大学教授の小山薫堂氏などが特別審査員を務めた
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会場には、アプリの事業化を検討する「バイヤー企業」100社も参加。興味がある作品に投票した。予選通過者に抽選によって選ばれた企業が、事業化などに関する交渉権を獲得した
会場には、アプリの事業化を検討する「バイヤー企業」100社も参加。興味がある作品に投票した。予選通過者に抽選によって選ばれた企業が、事業化などに関する交渉権を獲得した
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 ウィンドウズ デジタルライフスタイル コンソーシアム(WDLC)は2013年2月28日、若者を対象にしたWindows 8向けアプリ(Windows ストアアプリ)のコンテスト「Digital Youth Award」の決勝大会を開催した。ジェスチャーで任意のアプリを起動可能にする「Touch 8」などがグランプリを獲得した。

 Digital Youth Awardは、次代を担う革新的な人材の輩出を目的に開催したコンテスト。18歳以上29歳までの若者(学生か社会人かは不問)を対象に、「人が“豊か”になる国民的アプリ」をテーマにしたアプリを募集した。開発したアプリの出来栄えを競う「アプリ開発部門」と、アプリのアイデアを競う「アイデア発想部門」の2部門があり、両部門の応募総数は1100に上った。その中から、予選を通過した12チームが決勝大会に出場した。

 アプリ開発部門でグランプリを獲得したTouch 8は、「あらゆるストアアプリを指先で起動するランチャー」(開発者の桑原匠吾さん)。起動したいアプリと、それを起動するための指の動き(ジェスチャー)を登録しておけば、タッチパネル上をなぞるだけで目的のアプリを起動できる。人に見られたくないアプリなど、デスクトップにショートカットを作るのがはばかられるものでも、簡単に起動できるというメリットがある。

 以上の説明だけでは「単純なユーリティティソフトか、と思われがちだが、そうではない」と桑原さん。多くのソフトで、ファイル保存機能のアイコンにフロッピーディスクの絵が使われていること、子どもたちのほとんどはフロッピーディスクを見たことがないことなどを挙げながら、「ユーザーインタフェース(UI)における子どもと大人の常識は異なる」と指摘。この点で、指先のジェスチャーは直感的で、世代などによる差が生まれにくい、と説明した。

 さらに世界中で登録されたジェスチャーのデータを収集して解析することにより、「人類共通のジェスチャーを見つけられる可能性がある。つまり、みんなでUIを作っていける。こんなUIができたら、子どももWindowsを好きになって、世界を豊かにするいろいろなアプリを生み出してくれるはず」(桑原さん)。Touch 8だけでなくジェスチャーのデータ自体もさまざまな機器向けに販売できる、と、事業化の可能性も強調した。

 アプリ開発部門では、Touch 8を含めた5作品が最終選考に残った。審査は難航したというが、Touch 8は「Windows 8やタッチ操作、タブレットやスマートフォンなどの今後を見据え、世界中で問題になりそうなテーマを丁寧に考えて作られていることを評価した」(特別審査員を務めたインテカー社長の齋藤ウィリアム浩幸氏)という。

 アイデア発想部門でグランプリを獲得した「ジャパニコーゼ」は、「ジャパン」+「行こうぜ」を掛け合わせた造語。卒業式を翌日に控える、福島県立会津工業高等学校3年生、吉田圭汰さんが考案した。高齢化社会を前向きにとらえ、シニア層の豊富な知識・智恵を、日本を訪れる外国人を増やすために使う、というアイデアだ。これによって、シニア層の生活に新たな価値を提案したいという。

 シニアには、外国人のガイド役を務めてもらう。アプリには、観光地を案内する画面や翻訳機能などを用意して、ガイドの仕事をサポートする。さらにガイド認定制度を設けて、インストラクターによるガイド講習を展開する構想も披露。「人を豊かにする」というコンテストのテーマに則していたことが評価され、グランプリを受賞した。

 準グランプリは、アプリ開発部門では「筆談パッド」(田中善之さん)、アイデア発想部門では「ba-show」(和泉眞人さん)が受賞。WDLC理事賞は、「震災復興アプリ」の武井茉莉花さんが選ばれた。このほか、協賛企業各社からの賞も贈られた。

 コンテストを主催したWDLCは、2007年に設立された、Windowsを中心としたデジタル機器の普及を促進する団体。日本マイクロソフトが主導し、パソコンや周辺機器のメーカーなど約120社が参加する。