写真●日立製作所ITサービス事業部クラウド本部の高橋明男担当本部長(写真:皆木優子)
写真●日立製作所ITサービス事業部クラウド本部の高橋明男担当本部長(写真:皆木優子)
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 「基幹系システムをクラウドに移行したいという顧客からの問い合わせが2012年に急増した」――。日立製作所ITサービス事業部クラウド本部の高橋明男担当本部長(写真)は2013年2月27~28日に都内で開催中の「Cloud Days Tokyo/ビッグデータEXPO/スマートフォン&タブレット」(主催:日経BP社)のセミナーで、ERP(統合基幹業務システム)のクラウドへの移行が本格化していることなどを語った。

 高橋氏はまず、日立のクラウド「Harmonious Cloud」に関する顧客からの問い合わせ状況に変化が起きていることを指摘した。2011年度は「基幹業務」をクラウドに移行したいという顧客からの問い合わせは、全体の14%を占めるに過ぎなかったが、2012年度は基幹系業務に関する問い合わせが全体の33%を占めるようになったという。

 他の問い合わせとしては「事業継続」に関するものが19%、情報系など「一般業務」に関するものが18%である。つまり現在、顧客からのクラウドに関する問い合わせでは、基幹業務に関するものが最も多いというのが実情だ。

 このような顧客の要望に応えるため、日立としても基幹系業務システムを稼働させるための機能強化を、Harmonious Cloudに加えてきたという。高橋氏は機能強化点を2つ挙げる。1つめは運用に関する機能強化で、仮想マシンに加えて、ミドルウエアやアプリケーションの稼働状況などを監視する「システム統合監視基本サービス」や、アプリケーションなどのバックアップを顧客の指示に従って日立が行う「データディスクオンデマンドバックアップサービス」などだ。これによって、「顧客の業務要件に適合した運用が可能になった」(高橋氏)という。

 2つめはパッケージソフトの対応に関する機能強化で、ERPパッケージの「SAP Business Suite」など独SAPのアプリケーションを日立のクラウド上で稼働したいという顧客に対し、日立が検証済みの標準環境を提供する「SAPシステム向け基幹業務クラウドスイート」だ。顧客はSAPアプリケーション用の基盤に関する要件定義や構築に関する工数を削減できるとする。

 高橋氏はこのほか、日立が2012年から始めた日本マイクロソフトのクラウド「Windows Azure」とHarmonious Cloudとの連携を紹介した。この提携によって、Windows AzureとHarmonious Cloudの双方を日立の運用管理ソフト「JP1」を使って一元管理できるようになったほか、Windows AzureとHarmonious Cloudを、Windows Azureが備える仮想ネットワークサービスである「Windows Azure Virtual Network」で接続できるようになった。

 高橋氏は「業務データは国内のデータセンターで運用するHarmonious Cloudに置き、Windows Azureで稼働するアプリケーションサーバーから、そのデータを参照するといった運用が可能になった。業務データを日本国内に保管したいという顧客ニーズを満たすことができる」と説明した。