写真1●V-Lowで防災行政無線の代替を加古川市で実施した場合の理想像
写真1●V-Lowで防災行政無線の代替を加古川市で実施した場合の理想像
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写真2●ケーブルテレビ再送信実験の模様
写真2●ケーブルテレビ再送信実験の模様
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写真3●既存館内放送設備の一斉放送起動実験
写真3●既存館内放送設備の一斉放送起動実験
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写真4●デジタルへの期待
写真4●デジタルへの期待
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 近畿V-Low実証実験協議会は2013年2月26日に、加古川実験の説明会を開催した。同協議会は、大阪分科会と加古川分科会から構成され、1月16日には大阪市で実施した実験の見学を実施していた。加古川での実験は、送信系の各種装置などについて、大阪市での実験で利用した機材を持ち込んで実施している。

 この日は、加古川実験の様子について、加古川分科会事務局の川端建一郎氏(ケーブルテレビとコミュニティFMを展開するBAN-BANネットワークス)が説明した。

 加古川市は、防災行政無線が整備されてない未整備地区である。このため、V-Lowマルチメディア放送で防災行政無線の代替を実施した場合の理想像を示した(写真1)。「BAN-BANネットワークスがコミュニティ放送を開始する際に、市の関係者から災害情報に取り組んでほしいと要請されて、今も取り組んでいる最中」「公共情報コモンズの実証実験にも参加した関係から、ワンソース・マルチユース(災害関連情報を1回入力すると、様々な媒体で伝達される)を具現化したい」という思いから、V-Lowの実験に取り組んでいるという。

 想定するイメージは、V-Low波(2chを使用)で、データや音声を送信する。ケーブルテレビの再送信により、不感地域対策を行い、屋内などに届かないケースでも信号を届ける。その上で、各種システムを連動させ、例えば小学校や公民館のラッパスピーカーや館内スピーカを鳴動させることで、多くの人に情報を伝えたいという考えをベースに、実験を進めているという。

 ケーブルテレビの再送信については、2月18日午前に、デジアナ変換でNHKの番組を流しているしている2chを使い、メンテナンスのため放送を休止している時間帯に実施した。あわせてEWS起動が、空中波受信とほとんど同じタイミングで可能であることも確認した(写真2)。

 既存建物の管内一斉放送との連接については、2月25日に小中学校の放送設備が校内のトランペットスピーカーと連動する実験を行ったことが報告された。簡易な防災行政無線屋外子局の代替、あるいはオフィスビルやマンションなどビル内への緊急情報の提供手段などに使えると見る(写真3)。

 川端氏は、最後に、アナログとデジタルの違いについて、考え方を説明した。

 BAN-BANネットワークスは、兵庫県の加古川市、高砂市、加古郡稲美町、加古郡播磨町を対象に事業を行っている。アナログのコミュニティFMで緊急割り込み放送の検討を2市2町と一緒に行ったことがあるという。しかし、アナログFM放送では1波で1内容しか流せないため、先着順に情報を送るといった対応しかできないため、頓挫した経験があるという。デジタルであれば、データを多重化して、届けたい地域別に先着順などを気にせずに送れることが利点とした(写真4)。

 なお、この日は、平時の使い方や災害時を想定したデモが行われた。平時を想定した使い方では、V-Low波を経由して、IPDC技術を使ってデジタルサイネージに観光情報を送信する様子はデモされた。

 また災害時を想定し、公共情報コモンズの入力ツールに情報を入力し、V-Low波経由で送信し受信機を鳴動したり、情報を提示する様子がデモされた。