写真1●「Mobile World Congress(MWC)2013」の基調講演に立つNTTドコモの加藤薫社長
写真1●「Mobile World Congress(MWC)2013」の基調講演に立つNTTドコモの加藤薫社長
[画像のクリックで拡大表示]
写真2●2015年度に「新規事業から得られる収入を110億ドル(約1兆円)にする」と説明
写真2●2015年度に「新規事業から得られる収入を110億ドル(約1兆円)にする」と説明
[画像のクリックで拡大表示]
写真3●事業構造の変遷
写真3●事業構造の変遷
現在は「Stage 3」にあるとする。
[画像のクリックで拡大表示]

 2013年2月25日(現地時間)、スペイン・バルセロナで開催中のモバイル関連の展示会「Mobile World Congress(MWC)2013」の基調講演にNTTドコモの加藤薫社長が登壇(写真1)、2015年度に「新規事業から得られる収入を110億ドル(約1兆円)にする」と世界のモバイル関係者に向けて説明した(写真2)。

 加藤社長が登壇した基調講演のテーマは、「Vertical Disrupt」(垂直統合の崩壊)。OTT(Over the top)プレイヤーによる上位レイヤーサービスの寡占化が進む中、携帯電話事業者の“土管化”が数年前から懸念されている。こうした状況に対して加藤社長は、2011年に同社が発表した「中期ビジョン2015」(関連記事)の目標数値を世界のモバイル関係者に示すことで、携帯電話事業者のこれからのロールモデルを示した格好だ。

 フィーチャーフォンからスマートフォン/マルチデバイスと端末が変遷していくなかで、加藤社長は現在の事業構造の変化を「Stage 3」と位置付ける(写真3)。Stage 1は音声中心、Stage 2はドコモのiモードに代表されるモバイルインターネットの世界、そして今は事業構造の中心がサービス/サービスプラットフォームといったさらなる上位レイヤーに移行し、そこには多くのOTTプレイヤーが様々なシステム/プラットフォームを用意していると説明。この状況で携帯電話事業者が直面している状況が単に通信路を提供するだけの“土管化”だ。

 加藤社長は、ドコモは自らサービスを提供する新たな携帯電話事業者になることを示し(写真4)、サービスとプラットフォームの両方を提供すると説明。サービスの例として既に展開している「dマーケット」などを紹介した(写真5)。

写真4●自らサービスを提供する新たな携帯電話事業者になることを示す
写真4●自らサービスを提供する新たな携帯電話事業者になることを示す
写真4●自らサービスを提供する新たな携帯電話事業者になることを示す
[画像のクリックで拡大表示]
写真5●「dマーケット」を説明
写真5●「dマーケット」を説明
[画像のクリックで拡大表示]

 会場に集った聴衆は、世界各国の携帯電話事業の関係者が多数を占める。加藤社長の講演を聞きながら自らの事業に対する将来の懸念からか、うなずいている聴衆も見られた。今回のMWCは米Googleが出展していなかったり、Firefox OSなど携帯電話事業者が与しやすいOSの話題が多かったりと(関連記事1関連記事2)、「対OTT」ともいえる雰囲気も見られる。こうした中、加藤社長が述べたNTTドコモの示す総合サービス企業化といった動きが、成長戦略を描ききれない世界の携帯電話事業者から評価を得やすい状況になっているとも言えそうだ。