港区立青山小学校の曽根節子校長
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港区立青山小学校の竹村郷副校長
港区立青山小学校の竹村郷副校長
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レノボ・ジャパン製品事業/パートナー事業担当の留目真伸執行役員
レノボ・ジャパン製品事業/パートナー事業担当の留目真伸執行役員
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日本マイクロソフトパブリックセクター統括本部の中川哲文教本部長
日本マイクロソフトパブリックセクター統括本部の中川哲文教本部長
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レノボ・ジャパンの留目氏から青山小学校の曽根校長に「ThinkPad Tablet 2」が手渡された
レノボ・ジャパンの留目氏から青山小学校の曽根校長に「ThinkPad Tablet 2」が手渡された
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 東京都の港区立青山小学校は2013年2月21日、Windows 8を搭載したタブレットを使って学習効果を検証する「21世紀型スキル育成授業」の概要について発表した。レノボ・ジャパンがWindows 8を搭載したタブレット「ThinkPad Tablet 2」を31台提供。日本マイクロソフトは使い方などについて支援する。信州大学教育学部の東原義訓教授の指導の下、ICT(情報通信技術)を活用したコミュニケーション力の育成などについて検証する。対象は青山小学校の普通学級、特別支援学級の1~6年生。期間は2月から6月下旬まで。

 発表会では、青山小学校の曽根節子校長が同校におけるICT活用の取り組みについて説明した。青山小学校は全校で155名。2008年に日本マイクロソフトの「NEXTプロジェクト」のモデル校としてタブレットパソコンを活用する授業を実施して以降、独自に予算を確保したり企業の協力を得たりして継続的にICT活用に取り組んできた。「1人1台のパソコンを使って児童の進度に合わせた学習を進めたところ算数のテストで学力が大きく向上するなどの成果があった」(曽根校長)。Windows 8の登場でICT活用の幅が広がるのではないか考えていたところにレノボ・ジャパンから提案があり、「これまで取り組んできた活動を発展させるよい機会」(曽根校長)として提案を受けることにしたという。

 青山小学校では、5年生と特別支援学級の児童が既にタブレットを授業で使用している。ThinkPad Tablet 2は、軽くて持ち運びしやすい点が、特に教室外での活用に有効だという。「タブレットは、対象物を撮影して、気付いたことを音声で吹き込んだり、手書きでメモしたりすることなどが1つのデバイスでできる点が便利。デジタルカメラで撮影した後に、パソコンに画像を取り込むといった作業が必要ない。特別な支援が必要な児童でも使いやすい」(曽根校長)。

 ICTを活用した学習のポイントについては、竹村郷副校長が解説した。小学校における教育の大きな目的の一つとして、変化していく世の中に対応する力を身に付けさせることを挙げ、それを実現するためには3つの要件があるとした。「基礎の習得にとどまらない、教科書の範囲を超えて幅広い知識や技術を習得すること」「公開されている指導書以上の内容を教えられるように、教員が高い専門性を身に付けること」「生活の中で広範囲に進んでいる情報化に合わせて、指導内容を更新し続けること」だ。これらを学校が独力で成し遂げるのは難しく、今回のレノボ・ジャパンや日本マイクロソフトのような外部の協力が不可欠であるとした。

 竹村副校長は、デジタル教科書や電子黒板などのICTについて「児童に対して短時間に情報を提示するのには有効。情報伝達の効率化で生まれた時間で、児童が主体的に学び、考えたことをお互いに交流して“思考の質”を高められる」と一般的なメリットを説明。さらに「教育で一番大事なのは五感で学ぶこと。Windows 8を搭載したタブレットは機動性に優れていて子供でも操作を覚えやすい。視覚的にも、学習に対する興味・関心を喚起してくれる。タブレットを使うこと自体が、五感を使って学ぶという行動のスタートになっている」とし、新しい教育媒体として期待していると述べた。

 発表会にはレノボ・ジャパンと日本マイクロソフトの担当者も出席した。レノボ・ジャパン製品事業/パートナー事業担当の留目真伸執行役員は、「レノボ・ジャパンは、人材育成を目的としたプロジェクト『U.dream(ユー・ドリーム)』を実施している。今回は、青山小学校の取り組みに賛同して機材を提供した」と背景を説明。「ThinkPad Tablet 2は厳しい環境で使われることを想定した堅牢性がある。他社製品と比べてペンのタッチも自然で文字が書きやすい」と、学校での利用に向いた製品であるとアピールした。

 日本マイクロソフトパブリックセクター統括本部の中川哲文教本部長は、青山小学校との協業の狙いについて解説した。「困難な問題を解決するには、基礎学力とその学力を使う“活用力”が必要。活用力はコンピューターの利用で伸ばせると思っている。ただ、授業においてパソコンが1人1台ある環境はまだ未知の領域。インフラの提供だけでなく、授業を展開しやすいように先生方をサポートしたい。今回の実証研究の内容は、自社の取り組みにフィードバックし、全国の教育関係者に伝えていく」とした。