SAPジャパンは2013年2月20日、インメモリーデータベース(DB)である「SAP HANA」に最適化したERP(統合業務パッケージ)「SAP Business Suite powered by SAP HANA」を発表した。これまでアプリケーション側で実行していた400件以上の業務ロジックを、DBのHANA上で実行するように改めることで、性能を大幅に強化したとしている。5月末から出荷する。

 今回発表したSAP Business Suite powered by SAP HANAは、ERPのバックエンドを既存のリレーショナルデータベース(RDB)からインメモリーDBに差し替えただけでなく、インメモリーDBの性能を最大限発揮するために、アプリケーションの作りそのものにも手を加えた。具体的には、これまでアプリケーションサーバーに実装されていた400件の以上の業務ロジックを、400件の以上の業務ロジックを、HANA上で処理するストアドプロシージャとして再実装した。SAPではこのようなアプリケーションサーバーからDBへの処理の移行を「プッシュダウン」と呼称している。

 SAPジャパンの馬場渉リアルタイムコンピューティング事業本部長は、「DBにおけるディスクI/Oが性能のボトルネックだった従来は、業務ロジックをアプリケーションレイヤーで実行するのが正解だった。インメモリーDBによってこのボトルネックが無くなったので、業務ロジックはDBで動かすことが性能上、最も良い手段となった」と説明する。このほかデータアクセスを最適化するために、新たなテーブルビューを追加するなどしている。

 今後SAP Business Suiteは、従来からのRDB用と、HANA用の2系統に分化することになる。従来からのSAP Business Suiteのユーザーは、HANA用のSAP Business Suiteへのアップグレードが可能である。