中央大学は2013年2月20日、フラッシュメモリーと「抵抗変化型メモリー(ReRAM)」を統合することで、フラッシュメモリーだけを使うのに比べて信頼性を32倍に高めたストレージ技術を開発したと発表した。同大学理工学部の竹内健教授が、米国サンフランシスコで開催中の「国際固体素子回路会議(ISSCC 2013)」で論文発表した。

 ReRAMは、半導体メーカーが開発を進める新世代の不揮発性メモリーで、DRAM並みに高速でありながら、フラッシュ同様に電源をオフにしてもデータが消えないという特徴を持つ。例えば、フラッシュはデータの書き換えに必要な時間がミリ秒単位で、書き換え回数も数千回に過ぎない。それに対してReRAMは、書き換えがマイクロ秒単位で、書き換え回数も百万回以上である。竹内教授が開発したフラッシュ/ReRAM統合ストレージは、フラッシュのキャッシュに、より高速で信頼性が高いReRAMを使用することで、フラッシュストレージの信頼性を高めた。

 竹内教授はフラッシュストレージの信頼性を高めるために、ReRAMを使った4つの工夫を加えた。一つめの工夫は、データの信頼性を高めるためにフラッシュ間でデータを二重化する際に、そのキャッシュにReRAMを使用する「リバース・ミラーリング」という手法である。フラッシュはデータが書き込まれる場所によって、エラー率に大きな偏りがあるという。リバース・ミラーリングでは、エラー率が大きい箇所にあるデータをReRAMにまずキャッシュし、そのデータをエラー率が小さい箇所に複製することで、フラッシュメモリーの不良によってデータが読めなくなる率を、従来よりも69%削減した。

 二つめの工夫は、フラッシュ/ReRAM統合ストレージ用に新規開発したRAID技術、「ページRAID」だ。従来のハードディスク(HDD)ベースのストレージでは、データのミラーリングやパリティ付与は、HDD単位で行う。竹内教授が開発したページRAIDでは、フラッシュの「ページ」単位で、ミラーリングやパリティ付与を行う。またページRAIDでは、算出したパリティはまずReRAMにキャッシュし、その後にフラッシュに書き込む。ページRAIDを使用することで、従来に比べて許容できるエラー数を45%増やすことに成功した。

 このほか、フラッシュのエラーの特徴から正しいデータを複合する「Error-reduction synthesis」という技術や、データを読み出した際にそのエラーを記録しておき、次に読み出す際に訂正する「Error-masking」という技術を開発。これら4つを組み合わせることで、従来のフラッシュストレージに比べて32倍という高信頼性を実現した。