米NVIDIAは2013年2月19日(米国時間)、同社のモバイルプロセッサ「Tegra 4」ファミリーの新製品として、LTE対応のベースバンドチップを統合した「Tegra 4i」を発表した(写真1)。ベースバンドチップは、同社が2011年に買収した英Icera(当時、関連記事)のソフトウエアモデム技術をベースにした「i500」で、LTEや各種3Gの通信をサポートする。NVIDIAがIceraを買収して以降、「Project Grey」のコード名で開発していたものである。

写真1●NVIDIAは、Tegra 4ファミリーに同社のi500ベースバンドプロセッサを統合した「Tegra 4i」を追加
写真1●NVIDIAは、Tegra 4ファミリーに同社のi500ベースバンドプロセッサを統合した「Tegra 4i」を追加
既に発表済みのTegra 4が高性能スマートフォンやタブレット端末などをターゲットにするのに対し、Tegra 4iは普及タイプのスマートフォン向けという位置付けになる。図はNVIDIAの資料
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 Tegra 4iは、1月に発表された「Tegra 4」(関連記事)の下位モデルにあたる。CPUコアにはARM Cortex-A15ではなく、Tegra 3にも採用されたARM Cortex-A9の最新リビジョンである“R4”を採用。4つのCPUコアと省電力動作専用CPUコアの「4+1コア」構成を取る。同製品に統合された「Cortex-A9 r4」は、28nmプロセスの採用による省電力化と高クロック化を両立。「40nmプロセスを採用したTegra 3に搭載されている従来の同コアに比べて15~30%の性能向上を果たしている」と、NVIDIAでTegra製品のマーケティングを統括するマット・ウェブリング氏は説明する(表1)。

表1●Tegraシリーズの比較
 Tegra 4Tegra 4iTegra 3
製造プロセス28nm28nm40nm
CPUコアARM Cortex-A15ARM Cortex-A9 r4ARM Cortex-A9
コア数4+14+14+1
最大CPUクロック1.9GHz2.3GHz1.7GHz
GPUコア726012
メモリーDDR3L&LPDDR3LPDDR3DDR3-L&LPDDR2
最大メモリー容量4GB2GB2GB
LCDパネル出力(最大)3200×2000ピクセル1920×1200ピクセル2048×1536ピクセル
HDMI4K(UltraHD)1080p1080p
ベースバンドプロセッサオプションNVIDIA i500内蔵オプション
パッケージサイズ23×23mm BGA、14×14mm FCCSP12×12mm POP、12×12mm FCCSP24.5×24.5mm BGA、14×14mm FCCSP

 GPUコアの設計はTegra 4と共通で、60コアを統合。Tegra 4の72コアに比べると12コア少ないが、「Tegra 3の12コアと比べれば5倍の性能アップを果たしたことになる」(同氏)という。