写真1●フクオカRuby大賞表彰式で講評を述べるまつもとゆきひろ氏
写真1●フクオカRuby大賞表彰式で講評を述べるまつもとゆきひろ氏
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写真2●小川洋 福岡県知事に手のひらサイズの組み込み学習キット「EAPL-Trainer mruby」を説明する、アイ・エル・シーの熊野 靖 FACTICS開発部 副部長
写真2●小川洋 福岡県知事に手のひらサイズの組み込み学習キット「EAPL-Trainer mruby」を説明する、アイ・エル・シーの熊野 靖 FACTICS開発部 副部長
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 フクオカRuby大賞や福岡ビジネス・デジタル・コンテンツ賞の表彰式などで構成するイベント「Ruby・コンテンツフォーラムFUKUOKA」が2013年2月19日、福岡市内のホテルで開催された(写真1)。5回目となるフクオカRuby大賞は、Rubyを使ったビジネスの促進やRubyの普及拡大を目的に、Rubyを利用した優れた取り組みを表彰するコンテスト。福岡県Ruby・コンテンツビジネス振興会議と福岡県が主催する。福岡ビジネス・デジタル・コンテンツ賞は今回が初めてで、福岡から世界に発信するコンテンツを発掘するために創設された。

 フクオカRuby大賞には世界各国および国内から合計89件の応募があった。その中からアイ・エル・シーの組み込みアプリケーション開発学習教材「EAPL-Trainer(イープル トレーナー)mruby」が大賞に選ばれた。これは軽量Ruby(mruby)を使ったアプリケーション開発を学べる手のひらサイズの学習キットで、マイコンボート(ルネサスエレクトロニクスのRX63Nを搭載)とタッチパネル付き液晶、GUI開発環境「GENWARE-Lite」で構成する(写真2)。すでにアマゾン・ドット・コムなどを通じて市販されており、定価は1万7640円(税込)である。

 一方の福岡ビジネス・デジタル・コンテンツ賞には、ゲームやアニメ、音楽など87件もの多彩な応募作品の中から、しくみデザインが開発した触ると音のするお絵描きアプリケーション「paintone(ペイントーン)」が大賞を獲得した。

 フォーラムの冒頭、福岡県Ruby・コンテンツビジネス推進会議会長を務めるデジタルハリウッド学長の杉山知之氏は「ICT、クリエイティビィティ、ビジネスの三つがそろわなければコンテンツ産業は大きくならない」と挨拶。続いて、小川洋 福岡県知事が「福岡県から世界に羽ばたく企業が出ることを望んでいる。福岡県にはRubyの技術者が多くいるので、こうした技術者とコンテンツ産業を組み合わせて展開していきたい。産官学が協力して開発した軽量Ruby(mruby)についても、ますます進化し、多くの組み込み製品に使われていくことを期待する。これらにより、世界を視野に入れたRuby産業の集積地を目指す」と述べた。

 今回のフクオカRuby大賞について、まつもとゆきひろ氏は「今年もRubyの可能性、適用分野を広げる作品が多く集まった。今回軽量Rubyを実際に使ったもので、大賞をはじめとして賞をあげることができたのは喜ばしいこと。また、コンピューティングの主戦場はPCを超えたところになりつつある。そのため新たにポストPC賞を設けた」と講評した。

 この後、アマゾン データ サービス ジャパンの長崎 忠雄社長による講演「クラウド時代のビジネス航海術」、米国最大級のRubyミートアップ(Ruby技術者による集会)「Silicon Valley Ruby on Rails」代表のJeanine Swatton氏による講演「What's Hot in the U.S. IT and Software Market?」が行われ、交流会を経てイベントは終了した。

■変更履歴
本文中にあったGUI開発環境の「GENWARE4」は「GENWARE-Lite」の誤りです。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2013/02/20 11:00]