クラウドコンピューティングの先進ユーザーを表彰する「Cloud Innovation Award 2013」(主催:日経BP社コンピュータ・ネットワーク局)の受賞企業が決定した。2012年1月~2013年1月に日経BP社のIT系メディアで紹介した事例226件の中から、富士フイルムグループ、カーセブンディベロプメント、三井物産、日本交通の4社を選出した。2月27日に開幕するクラウドコンピューティングの総合展「Cloud Days Tokyo 2013 Spring」の会場で贈賞式を執り行う。

 富士フイルムグループは、日経コンピュータ賞に選んだ。グループ企業向けのプライベートクラウド基盤の構築に当たって、リソースのメニュー化や業務プロセスの標準化を徹底しスピーディな仮想マシン展開を実現した点、パブリッククラウドと使い分けている点などを評価した(関連記事1)。

 中古車の買い取り・販売店「カーセブン」を展開するカーセブンディベロプメントは、日経SYSYTEMS賞とした。パブリッククラウド上に、スマートデバイスの利用を前提にユーザーインタフェースや機能を設計した自動車査定支援アプリケーションを開発し、「即時オークション」という新しい事業モデルを確立した点などを評価した(関連記事2)。
 
 三井物産は日経コミュニケーション賞に選んだ。国内12拠点に無線LANインフラを導入するに当たって、クラウド型のサービスを利用。無線LANコントローラーなどの資産を一切持たず、メンテナンス費用を含めて月額課金の中で利用を実現した点などを評価した(関連記事3)。

 日本交通はITpro賞とした。スマートフォンからタクシーの配車注文を受け付けるシステム「全国タクシー配車」をパブリッククラウド上に構築したほか、同システムをクラウド経由で提携しているタクシー会社が利用できるようにした点などを評価した(関連記事4)。

 受賞企業の選出は(1)クラウドを経営課題の解決にどう役立てたか、(2)クラウドならではの課題をどうやって解決したか、(3)クラウドの特徴をどのくらい引き出しているか――といった観点から実施した。日経BP社の桔梗原富夫(執行役員コンピュータ・ネットワーク局長)を委員長とする委員会が担当した。委員会には桔梗原のほか、各誌の編集長が参加した。

 「Cloud Innovation Award」の実施は2011年3月、2012年3月に続いて3回目。第1回はオリンパス、JTBグループ、gumiの3社を。第2回はサントリーホールディングス、全日本空輸(ANA)、日本通運、クックパッドの4社をそれぞれ選んだ。