写真1●IEEE 802.11aiの概要(総務省資料から抜粋)
写真1●IEEE 802.11aiの概要(総務省資料から抜粋)
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 総務省は2013年2月15日、業界団体の「Wi-FILS(Wireless LAN Fast Initial Link Setup)推進協議会」と連携し、無線LANの高速認証技術の実証実験を実施すると発表した。同技術は、端末が無線LANのエリアに入ってからインターネットに接続できるようになるまでの時間を、現行の300分の1に当たる0.01秒程度に短縮することを目指している。実験の成果をIEEEに提案し、標準化に貢献していく考えだ。

 実証実験は2月21日に京都大学で実施する。アライドテレシス開発センターの真野浩氏が提案し、IEEEで標準化の検討が進められている「IEEE 802.11ai」と呼ぶ高速認証技術を使う(写真1)。11aiは接続・認証の手順を一括化するプロトコル。セキュリティ強度を維持しながら、鍵交換など端末とネットワーク側でやり取りするメッセージをまとめることで、認証時間の短縮を図る。

 実験では、京都大学内に11aiの無線LAN環境を用意。11aiと11i(WPA2)に対応したタブレット端末をそれぞれ50台ずつ用意して、接続時間などを計測する。11aiは2013年1月にドラフト0.4が出たばかりで、大規模な屋外実験は今回が初めてという。

 11aiが実用化されると、車での移動中や歩行中でも瞬時に電波をつかんで通信できるようになる。その間にメールを受信できるほか、ドライブスルーの公衆無線LANの電波をつかんだ端末に、店舗情報を配信するといった応用も検討が進んでいる(関連記事)。認証時間が短いと端末当たりの電波の占有時間も短くなるため、無線LANのキャパシティーを底上げする効果も期待できる。

 11aiは今後、7月にドラフト1.0が固まり、IEEEのメンバーによる投票にかけられていく。物理層は変えず、ファームウエアの書き換えだけで対応できるため、実用化までにそれほど時間はかからないとの見方もある。