写真●NTTの鵜浦社長
写真●NTTの鵜浦社長
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 NTT持株会社の鵜浦博夫社長は、2013年2月14日に開催したNTT R&Dフォーラムの基調講演で、北米に2013年4月に設立予定の新たなR&D拠点の社名を公表した。

 正式名称は「NTT Inovation Institute Inc.」で、呼称をNTT I3(NTTアイキューブ)とする。「5月に北米で設立のセレモニーを行う。NTTグループとしてのグローバルでのブランドを向上させたい」(鵜浦社長)と述べた(写真)。

 基調講演では、今後、技術開発において強化すべきテーマとして(1)セキュリティ、(2)ビッグデータの分析、(3)無線LANを使ったプラットフォームサービスの三つを挙げ、最新の取り組みを紹介した。

 セキュリティ分野では、北米のR&D拠点などでグローバルの標準プラットフォームを開発するという。その後、各国ごとの規制や個人情報保護の制度に合わせて、ローカル仕様に合わせた個別のプラットフォームを整備していく、という方針を示した。

 ビッグデータの分析では、「ビッグチャンスではあるが、特に個人情報の取り扱いでビジネス化できるのかまだ難しい」とし、「個人情報と関係のないM2M分野での故障監視などから取り組みたい。日本ではトンネルや橋、高速道路などのインフラの老朽化が問題になっている。そこでセンサーネットワークを整備してデータを集めるといたビジネスモデルを確立したい」とした。

 無線LANのプラットフォームサービスについては「通信事業者や端末OSに関わらず、ユーザーにアプローチできることで、地域の情報配信や流通業者、交通機関などの企業から協業したいという需要が意外なほど高まっている」と指摘し、「無線LANを利用するユーザーから生の情報を得られるという点が評価されており、今後の武器になるという実感がある。今後安心、安全に拡大できる技術を強化したい」と期待を示した。

 北米で設立する新たな技術開発の体制については、「新興国ではSkip To Cloudと言ってシステムを最初からクラウドで構築する。日本とは状況が違うため、規制が少なく先進的なマーケットである北米でグローバルな標準となるサービスを開発する」と狙いを語った。