写真1●2012年12月期決算・事業説明会で話すサイボウズの青野慶久・代表取締役社長
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写真2●「kinotone People」の画面。人を軸にコミュニケーションをするFacebookなどに近いインターフェース
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写真3●「kinotone Space」の画面。「プロジェクト」が軸で業務資料を共有する場をイメージしている
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 企業向けグループウエア大手のサイボウズは2013年3月上旬に、SNS型の企業内コミュニケーションサービス「kinotone People」と「kintone Space」の提供を始める。青野慶久・代表取締役社長(写真1)が2月14日に開催された決算・事業説明会の場で発表した。

 PeopleとSpaceは、PaaS(Platform as a Service)型の業務アプリケーション構築クラウドサービス「kintone(キントーン、関連記事)」の付加サービスとして提供する。kintoneを契約済みの企業は、追加料金無しで利用できる。

組織文化に対応し2パターンのUI

 People(写真2)は個人に、Space(写真3)は部署やプロジェクトに焦点を軸にしたユーザーインターフェースを採用している。いずれも、Facebookのように、発言や写真、業務で必要なグラフなどを投稿したり、それに対して「いいね!」や「コメント」を付けたりする機能がある。kintoneで構築した業務アプリケーションとスムーズに連携できる機能も盛り込んだ。

 青野社長は、「社内SNSでは一部の人だけが発信して場が盛り上がらないケースも多い。サイボウズは、発信が上手な人が多い組織向けのPeopleと、そうでない人が多い組織でリーダーを中心にコミュニケーションを形成するSpaceの両方を用意。組織の状況に合ったコミュニケーションができるようにした」と説明する。

 kintoneの機能強化によって企業内の利用者数を底上げしたい狙いもある。kintoneの利用企業は約500社だが、1社当たりの利用者数は10人程度と少ない。kintoneを利用している企業でも、一部部署での導入にとどまっている可能性がある。「PeopleとSpaceのコミュニケーション機能を訴求して、1社当たりの利用者数を増やしたい」と青野社長は説明した。

 青野社長は、FacebookやTwitter、Google+といった一般消費者向けSNSや、企業内SNSに特化した製品・サービスとは競合しないという考えも示した。「企業は現状でも基幹系や営業支援系などのシステムが併存し、データが分断されて苦労している。そこに新しくSNSが加わってさらにデータの分断が進むことを望んでいない」と説明した。

 一方で、米Microsoftは企業向けSNSの米Yammerを買収(関連記事)し、自社の情報共有ツール「SharePoint」の機能と融合させようとしている。これについて青野社長は「当社と方向性が似ている」と話し、警戒感を示した。