図1 音響システムのイメージ
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写真1 音響システムの操作画面
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写真2 ロボットカメラの制御パソコンの画面
写真2 ロボットカメラの制御パソコンの画面
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図2 小型ロボットカメラのイメージ
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写真3 画像認識用超広角カメラ(下)と本番収録カメラ
写真3 画像認識用超広角カメラ(下)と本番収録カメラ
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 日本放送協会(NHK)は2013年2月11日から、「第42回番組技術展」を開催している。このイベントは、全国の放送現場で開発・改善した最新の放送機器のほか、番組制作や緊急報道への多彩な取り組みを視聴者に紹介することを目的に実施されている。

 名古屋放送局とNHK放送技術研究所は共同で、「視点切り替え連動の臨場感再生音響システム」を展示した。コンサートやスポーツ観戦では会場内のどの座席に座るかにより聴こえ方が大きく異なる。例えば、演奏を前方の席で聴いた場合には近くにある楽器の音が大きく聴こえ、後方の席で聴いた場合と受ける印象が変わる。しかし現在はこの違いを放送で音として楽しむことまではできない。

 そこで視聴者が好みの位置を選択し、その場所における臨場感を再現するシステムを開発した。このシステムは、距離と角度を計算することにより、各場所で聴こえる音声を再生する機能を備える(図1、写真1)。事前に距離と角度を設定しておけば、例えば好みの楽器を中心とした演奏を楽しむことができる。今回のシステムは、アコースティックフィールドおよびデジコムと共同で開発した。

 NHKが開発中の次世代サービスの「ハイブリッドキャスト」で提供が検討されている「マルチビュー」(視聴者が視点を選べるサービス)との連動を目標としている。これが実現すれば、任意の位置での映像と音声を両方とも楽しむことができるようになる。

自動追尾機能付きロボットカメラも展示

 放送技術局 制作技術センターと新潟放送局が展示したのは、「自動追尾機能付き小型ロボットカメラ」である。ゼクーと共同開発したもので、人の気配に敏感な野生動物などの撮影に対応する。動物を感知するセンサーと動きを追尾するプログラムを融合した。

 赤外線センサーにより動物が来たことを検知すると、スタンバイ中のシステムを起動する。システムはまず画像認識用超広角カメラにより、一定のエリアを撮影する。その後、制御パソコンにより画像処理を行い、動物の位置を解析する(写真2)。すると、本番収録カメラが動物を自動追尾し収録を開始する(図2、写真3)。赤外線モードによる夜間撮影に対応するほか、無線LANによる遠隔操作もできる。NHKは、自然番組シリーズでこのロボットカメラの使用を予定する。

 第42回番組技術展は、2013年2月13日まで開催される。同日の開催時間は10時から17時までで、会場はNHK放送センター(正面玄関ロビー)である。

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