画面●FP技能検定試験を実施する金融財政事情研究会のWebサイト
画面●FP技能検定試験を実施する金融財政事情研究会のWebサイト
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 2013年1月27日に実施された「国家検定ファイナンシャル・プランニング技能検定試験(FP技能検定試験)」の試験問題が事前に漏洩したトラブル(関連記事)を巡って、試験実施団体の1つである金融財政事情研究会(研究会)は2月12日、試験は「有効」であることを発表した(画面)。

 当初の予定通り合否判定を行い、3月7日に合格発表する。研究会は、経緯を厚生労働省に報告した結果、「厚労省において、2013年1月27日実施の試験は『有効』であると判断したとの連絡があった」と説明している。もう1つの試験実施団体で、研究会と一部の試験問題を共用している日本ファイナンシャル・プランナーズ協会(日本FP協会)も、同様に試験が有効であると発表した。

 試験問題のPDFファイルは、実施の数日前から研究会のWebサイトで“公開”されており、URLが分かれば誰でも閲覧できる状態になっていた。事前に試験問題を知った受験者が有利になるため、FP検定を所管する厚労省と研究会は、試験の有効性について検討していた。

不正閲覧者の調査は継続、合格取り消しも

 研究会は発表文書の中で、「このような不祥事を起こしましたことの責任を痛感し、今後は、このような事態が生じないよう自戒し、厳正な試験の運営に臨んでまいります」と謝罪した。

 また、試験問題を事前に閲覧した人を特定するための調査を継続する方針を示したうえで、「試験結果は、本人の技能を適切に評価したものと言えるか確認したうえで、合否を決定いたします」と説明した。合格発表後に特定された場合も、合格の取り消しがあり得るという。

 一方で、判断を下した厚労省は、「有効と判断したポイント」について3点を挙げた。第1に検定の合否判定が相対評価ではなく「絶対評価(満点の6割以上)」であるため、問題を不正に閲覧した者が合格することによって本来合格すべき者が不合格になる不利益が生じないことである。

 第2に、不正に閲覧した者が多ければ合格率が上昇するはずだが、内部で実施した採点の結果、合格率の上昇などが認められないこと。第3に、受検者数が約12万3000人に及び、試験を無効にした場合に不利益を受ける人が非常に多いこと、を挙げた。