米Appleが腕時計型デバイスの開発に向けて調査を進めていると、米New York Timesが現地時間2013年2月10日に報じた。

 New York Timesが関係者から入手した情報によると、「iWatch」と仮に名付けられたそのデバイスは曲面ガラスを採用した腕時計タイプで、同社のモバイルプラットフォーム「iOS」をベースにする。こうした噂は初めてではない。昨年中国のガジェット情報サイト「Tech.163」は、Appleが1.5インチディスプレイを搭載したBluetooth対応の腕時計型デバイスの開発を始めたと報じていた。

 Appleが実際に製品を発表するかどうかはともかく、Appleにはその技術があるとNew York Timesは指摘している。同社のスマートフォン「iPhone」にディスプレイガラスを供給している米Corningは、紙のように自在に曲げられるフレキシブルガラス「Willow Glass」を昨年発表した。CorningによるとWillow Glassは円筒状のものに巻けるので、「手首に巻くことも考えられる」と述べている。

 Apple自身も昨年、目の前に映像や情報を投影するヘッドマウントディスプレイの特許を取得している。社員の話によると、Appleのテクノロジー担当上級バイスプレジデントのBob Mansfield氏が、ウエアラブル分野に高い関心を抱いているという。

 また米Wall Street Journalは、Appleがウエアラブルデバイスに関して台湾Hon Hai Precision Industryと協議したと報じている。Hon Haiは高効率のディスプレイに取り組んでおり、より電力消費効率の高いチップを手がけるメーカーと協力しているという。

 ウエアラブルデバイス市場に注目しているアナリストや投資家は、AppleがiPhoneと連携する機能を備えたウエアラブル製品をリリースするとみている。一部のアナリストは、ウエアラブルデバイスが今後10年のあいだにスマートフォンに取って代わると予測している。

 New York TimesとWall Street Journalによれば、Appleはセンサーなどウエアラブル関連技術の知識やスキルを備えた人材を、ここ数年採用し続けているという。

 なおウエアラブルデバイスに関しては、米Googleが拡張現実(AR)機能を組み込んだめがね型端末の開発プロジェクト「Project Glass」を昨年発表している(関連記事:Google、ARめがねプロジェクト「Project Glass」を発表 )。