写真●VIPRION 4800の外観
写真●VIPRION 4800の外観
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 F5ネットワークスジャパンは2013年2月8日、負荷分散装置(ロードバランサー)のラインアップを拡充し、1秒当たり最大1億超のHTTPリクエストを処理できるハイエンド新機種「VIPRION 4800」(写真)を発表した。最大構成時には、既存機種の2倍となる最大8枚のブレードを搭載できる。2013年第1四半期に出荷する。価格(税別)は、ブレード1枚の最小構成で3145万円。

 VIPRIONは、ブレードの増設によって処理性能をスケールアップできる、シャシー型の負荷分散装置である。複数ブレードにまたがったCPUの全コアを、論理的に1台(一つのIPアドレスを持つ1台の負荷分散装置)として扱える。それぞれのCPUコアはメインメモリーを共有しないシェアードナッシングの形態で動作する。また、専用のサーバー仮想化ソフトを併用することで、CPUコア単位で領域を分割する運用もできる。

 新機種(新シャーシ)のVIPRION 4800は、既存のハイエンド機種「VIPRION 4480」の2倍となる最大8枚のブレードを搭載。最上位ブレード「VIPRION 4300/4340N Blade」は12コア(6コア×2CPU)であるため、8枚で合計96コアまで性能をスケールアップできる。最大構成時の主なカタログ性能は、スループットが640Gビット/秒、HTTPリクエスト(L4)が1秒当たり1億1200万件、最大L4コネクション確立数が1秒当たり1000万件など。

エントリー機種は性能を向上、ファイアウォール機能のアドオンも用意

 VIPRIONの下位に位置するラックマウント型の負荷分散装置「BIG-IP」も拡充した。このうちの一つが、エントリー機種の「BIG-IP 2000s」である。既存のエントリー機種「BIG-IP 1600」と同じカタログ価格(299万円から)でありながら、ハードウエア性能をBIG-IP 1600よりも大幅に高めている。2013年第1四半期に出荷する。

 BIG-IP 2000sの主なカタログ仕様は、以下の通り。ネットワークポートは10ポート(10GBASE-SR×2、1000BASE-T×8)。スループットは5Gビット/秒、HTTPリクエスト(L4)は1秒当たり55万件、最大L4コネクション確立数は1秒当たり7万5000件など。

 また、負荷分散装置をファイアウォール用途で使うための機能拡張オプション「BIG-IP Advanced Firewall Manager」(AFM)も発表した。プロキシー(アプリケーションゲートウエイ)を負荷分散に応用するリバースプロキシーとしての使い方ではなく、セキュリティ確保のために使う。AFMの価格は、BIG-IPにアドオンする場合は170万円からで、仮想アプライアンス版は128万円。

 プロキシー型のファイアウォールのメリットは、アプリケーション層できめ細かくセキュリティを制御できる点である。一方、処理速度が遅いというデメリットがあるため、パケットフィルタリング機能を備えたセキュリティールーター型のファイアウォールへととって代わられた経緯がある。

 これに対してF5ネットワークスジャパンでは、負荷分散装置のハードウエアが高速化した現在では、このハードウエアを使うことによって、プロキシー型でも高速に動作させることができる、としている。VIPRION 4800とAFMを組み合わせた場合、ファイアウォールスループットのカタログ値は640Gビット/秒になる。