日本IBMは2013年2月6日、データバックアップ分野の新版製品を二つ発表した。ソフトウエアを強化した仮想テープライブラリーの新版「IBM System Storage TS7600 ProtecTIER Deduplication Solution v3.3」（2月5日出荷、写真1）と、NASの手前に設置してNASの容量を増やすアプライアンスのハイエンド新機種「Real-time Compression Appliance STN7800」（2月15日出荷、写真2）である。
一つ目のTS7600 ProtecTIERは、重複排除機能を備えた仮想テープライブラリー装置である。ハードディスクを使いながら、バックアップソフトからはテープ装置として扱える。具体的には、エントリー機種「TS7620」の場合、最大4個のTS3500テープライブラリー、最大64個のLTO3テープドライブ、最大8192個のテープカートリッジをエミュレーションする。
今回、ソフトウエアを新バージョンに刷新した。これにより、NASとしての使い勝手を高めた。元々TS7600 ProtecTIERシリーズは、仮想テープライブラリーとしての使い方に加えて、CIFSプロトコルによるNASとして利用することができていた。今回、CIFSに加えてNFSプロトコルによるNASとして利用できるようにした。価格（税別、以下同）は、エントリー機種のTS7620で、最小構成時に754万5500円。
二つ目のSTN7800は、NAS（CIFS/NFS）の実質的な容量をデータ圧縮によって増やすアプライアンス機器のハイエンド新機種である。従来のハイエンド機種（STN6800）の後継に当たり、ハードウエア性能を高めている。さらに、今回から、容量が50Tバイトを超えた場合に一定料金（975万円）で利用できる新ソフトウエアライセンスを採用した。
STN7800は、NASの手前にインラインで設置することによって、ネットワーク上を流れるデータを自動的に圧縮/伸長する装置である。IPパケットのペイロードのうち、NAS固有のヘッダー情報を除いた純粋なデータ部分だけを圧縮する。このため、既存のネットワーク環境やNASクライアントに変更を加えることなく利用できる。価格は、最小構成で1台当たり411万5200円。
NAS割り当てのセルフポータル製品も提供
2月6日にはまた、NAS領域の利用申請と割り当てをエンドユーザーみずからWebブラウザーで簡単に実行できるようにするソフト「IBM SmartCloud Storage Access」（SCSA、写真3）も発表した。割り当て要求の内容が、あらかじめ定めたルールの範囲内であった場合、システム管理者による操作なしに、申請内容に応じて自動的にNAS領域をユーザーに割り当てることができる。
SCSAの実態は、既存の運用管理ソフトでストレージの割り当て状況を管理して割り当てを実行する「Tivoli Storage Productivity Center」（TPC）の上に被せたWebインタフェースである。今回のSCSAは、実質的にはTPCのオプションであり、TPCと組み合わせなければ利用できない。TPCにSCSAを組み合わせることで、システム管理者がTPCを手動で操作することなくTPCによるNAS領域の割り当てが可能になる。
TPCは、ストレージとして、以下の2種類を利用できる。「IBM Storwize V7000 Unified」は、ミッドレンジ級の多機能型SAN/NAS統合ストレージである。価格は、最小構成で1233万1400円から。もう一つのストレージ「IBM Scale Out Network Attached Storage」（SONAS）は、分散ファイルシステムを採用したクラスター型NASストレージである。価格は、最小構成で7199万4300円から。TPCの価格は利用するストレージによって異なり、V7000 Unified使用時はV7000 Unifiedのきょう体当たり81万9000円、SONASの場合、テラバイト当たり31万5000円。
