「柏の葉スマートヘルス」プロジェクトは1月31日、ICTとデジタルヘルス機器を活用して住民の健康データを集めて活用するための実証実験を、柏の葉スマートシティ(千葉県柏市)で2月2日から3月10日まで実施すると発表した。プロジェクトに参加するのは、柏市、三井不動産、イーソリューションズ、日本ヒューレット・パッカード、メディシンクの5団体。
3軸加速度センサーで動きを常時計測するリストバンド型ライフレコーダー(活動量計)や通信機能付き体組成計などのデジタルヘルス機器を、ネットワーク経由で健康データ分析システムに連携させ、パソコンやスマートフォンで利用者の健康状態を表示する。例えば、センサーが計測したデータは、「睡眠」「安静」「デスクワーク」「軽作業」「作業」「歩行」「ジョギング」「非装着」の8種類に分類し、色分け表示して“見える化”する。このほかにも、運動頻度、消費カロリー、運動強度(METs値)、歩数、睡眠、生活リズム、体重、体脂肪率、BMI値(肥満度)、基礎代謝量など多様な“健康ビッグデータ”を収集。蓄積・分析・グラフ化して、分かりやすく表示する。
使用する機器・ソリューションは、リストバンド型ライフレコーダー(日立製作所中央研究所開発:未発売)、通信機能付き体組成計(オムロンヘルスケア:HBF-206IT、エー・アンド・デイ:UC-411PBT-C)、医療情報交換の標準規格であるContinua対応ゲートウエイサーバー(アライブ:AP3241)、健康データ分析システム、健康データ見える化ソフトウェア(コンソーシアムで新規開発)。
既に参加者(3コース150人)の公募を終了。健康管理体験コース(Aコース)の50人にはライフレコーダーと体組成計、ゲートウエイサーバーを、ウォーキングコース(B、Cコース)の各50人には歩数計を貸与する。今後、プロジェクト専用の健康データSNSを立ち上げ、利用者同士の交流を促進すると同時に、ウォーキングや睡眠などに関する専門家のアドバイスを提供していく計画だ。三井不動産 柏の葉キャンパスシティプロジェクト推進部長の河合淳也氏は「健康状態は目に見えづらいし、簡単で便利で楽しくないと続かない。加えて、健康な時から取り組む日常性が必要。こうした要素を考慮して、自発的な健康増進・疾病予防を促すようなプロジェクトを企画した」と説明。実証実験終了後も、新たにContinua対応血圧計などの連携機器の拡充、地域で流通する買い物ポイントなどとの連携、PHR(Personal Health Record)を活用した医療機関との連携などを進めていく。
この実証実験は、総務省から受託した「ICT街づくり推進事業」の一環として実施する。実験の舞台となる柏市は、「地域活性化総合特区」「環境未来都市」2事業の対象に指定されており、環境・エネルギー問題に対する「スマートシティ」、超高齢化社会に対する「健康長寿都市」、日本経済再生を担う「新産業創造都市」という3つの課題解決モデルの実現を目指している。柏市長の秋山浩保氏は「年1度の検診に限定せず、健康管理をサポートするプラットフォームを民間と協力して提供していくのは、自治体の努めだと考えている」と意気込みを示した。