写真●SAPジャパンの安斎富太郎社長
写真●SAPジャパンの安斎富太郎社長
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 「2011年はインメモリーデータベース『HANA』を発表し、12年はモバイル関連製品が好調だった。13年はクラウドの年にしたい」。SAPジャパンは2013年1月30日に記者会見を開催し、13年度のビジネス戦略について説明。安斎富太郎社長は、「買収したタレントマネジメント向けSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の『SuccessFactors』を中心に、クラウド事業に注力していきたい」と強調した。

 クラウド関連では、SuccessFactorsに加えて中堅企業向けERP(統合基幹業務システム)のSaaS「SAP Business ByDesign」を13年後半に提供する見通しを示した。Business ByDesignは世界15カ国で提供済みだ。12年5月に買収を表明した購買管理支援の「Ariba」の拡販にも注力し、「日本国内でSAPのクラウドの利用者を増やしたい」(安斎社長)としている。

 記者会見では2012年度(1~12月)の業績についても説明した。SAPジャパンの12年度の売上高は前年同期比21%増の7億8900万ユーロ(818億1900万円)。ERP(統合基幹業務システム)パッケージ関連事業とその他の事業の割合はそれぞれ41%、59%で、ERP関連以外の事業が半分以上を占める。

 昨年好調だった事業の一つがHANAだ。導入企業数は日本では50社となり「普及期に入った」と安斎社長は説明する。前年度比326%の伸びを示したのがモバイル関連事業だった。MDM(モバイルデバイス管理)ソフトの「Afaria」を日立製作所の運用管理ソフト「JP1」にOEM(相手先ブランドによる生産)供給するなど、「SAPが表に出ない形で販売が拡大した。今年もOEMは継続していきたい」(安斎社長)としている。

 ERP関連事業も前年度比で二桁伸びた。特に「売上高1000億~3000億円規模の企業への販売が伸びた」と安斎社長は説明。今年は売上高500億~1000億円規模の企業に向けた営業組織を新設し、「さらに中堅中小企業向けの事業を強化していきたい」(安斎社長)とした。