図●SaaSの利用率と今後の利用意向。出典:矢野経済研究所(2013年1月29日)
図●SaaSの利用率と今後の利用意向。出典:矢野経済研究所(2013年1月29日)
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 矢野経済研究所は2013年1月29日、ERP・業務アプリケーションにおけるSaaSの利用意向に関する調査結果を発表した。業務別に現在のSaaS利用率と今後の利用意向を調べたところ、現在の利用率はいずれも1割以下で、今後の利用意向もCRM・SFA以外は1割に満たないことが分かった()。

 ERP・業務アプリケーションの現在のSaaS利用率を業務別に見ると、財務・会計システムで2.9%、人事・給与システムで3.0%、販売管理システムで2.1%、CRM・SFAで9.0%となり、CRM・SFAが他分野に比べると高いものの、全体的に低い水準となった。

 次回のシステム更新または導入の際にSaaSを利用する意向については、財務・会計システムで6.6%、人事・給与システムで6.4%、販売管理システムで7.0%、CRM・SFAで22.5%と、いずれの分野においても現在のSaaS利用率を上回っている。

 このことから矢野経済研究所では、今後SaaSの利用企業が増加すると見込んでいるが、財務・会計、人事・給与では利用意向が6%台にとどまっているため、短期的に急拡大することはなく、当面は従来のサーバー設置型のシステム導入が主流となる見通しだとしている。

 一方、CRM・SFAは、次回システム導入時にSaaSを利用したいという回答が22.5%に達している。この背景について矢野経済研究所は、Salesforce.comが日本市場で成功したこと、またそれに続く他ベンダーもSaaS型のサービスを開始し、この分野でのSaaS利用がいち早く定着したことが最大の理由だとしている。

 また、CRM・SFAは部門導入や試験的な導入など、小規模な利用からスタートしたいと考える企業も多く、初期コストをかけず手軽に利用できるSaaSがニーズにマッチしていることも普及の要因として挙げている。