写真●米IDC ストレージ、半導体、GRC、価格リサーチグループ担当グループバイスプレジデント デイビッド・レインセル氏
写真●米IDC ストレージ、半導体、GRC、価格リサーチグループ担当グループバイスプレジデント デイビッド・レインセル氏
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 「デジタルユニバースの規模は、過去のわれわれの予測を上回る勢いで成長している。その規模は2020年には40ゼタバイトに達するだろう」。米IDCでストレージ、半導体、GRC、価格リサーチグループ担当グループバイスプレジデント(副社長)を務めるデイビッド・レインセル氏は2013年1月24日、EMCジャパンが開催したデジタルユニバースに関する調査の説明会でこう語った。IDCはEMCの協賛により、毎年デジタルユニバースに関する調査を行っている。

 レインセル氏によると、特にデータ量の増加が見込まれるのは、産業機器や医療機器、車載、組み込みシステムなどのマシンが生成するデータだという。こうしたデータは、2005年にはデジタルユニバースの11%しか占めていなかったが、2020年には40%以上になると見られている。

 こうしてデジタルユニバースが拡大する中、レインセル氏は保護されるべきデータの量がデジタルユニバースの拡大を上回るペースで増加していることに懸念を示す。保護されるべきデータとは、メールアドレスなどの個人情報から金融取引情報や医療カルテなどの機密情報までさまざまだ。こうしたデータの量は、2010年には全体の3分の1以下だったのが、2020年には40%以上になるという。2012年の段階でも約35%のデータが保護されるべきだというが、「実際に保護されているのは全体の19%に過ぎない」とレインセル氏は述べ、データ保護の水準がデータ量の拡大に追いついていないとした。

 レインセル氏によると、デジタルユニバースのインフラや管理、研究などへの投資は、2012年から2020年までに40%増加するという。しかし、これをギガバイト単価で計算すると、「1ギガバイトあたりの投資額は2012年の2ドルから2020年には20セントにまで下落することになる」と指摘する。

 またレインセル氏は、クラウドの重要性が増し、2020年にはサーバーの数が10倍、企業データセンターで管理される情報量が14倍になると見込まれる中で、「クラウドを管理するIT技術者の数は1.5倍以下にしか増えない」と指摘。今後より効率性の高いインフラが必要になるだろうとしている。