写真●「在宅医療支援SaaS」の利用シーン
写真●「在宅医療支援SaaS」の利用シーン
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 富士通は2013年1月23日、高齢者の在宅医療・介護を支援するクラウドサービス「Fujitsu Intelligent Society Solution 往診先生」を発表した。第一弾として、医師や看護師などが利用する2種類のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)と、患者や家族からの問い合わせを受け付けるコンタクトセンターサービスを提供する。富士通は2015年度までに、在宅医療・介護クラウドで累計60億円(ユーザー数は1000事業者)を販売する計画だ。

 提供する二つのSaaSは、医師や看護師のスケジュールなどを管理する「在宅医療支援SaaS」と、診療所や薬局、訪問介護事業所などの複数事業者間で患者情報などを共有する「在宅チームケアSaaS」である。これらとは別に提供する「在宅医支援コンタクトセンターサービス」では、センターに看護師が常駐して患者や家族からの問い合わせに24時間対応できるようにする。

 これらのサービスを使うことで医療・介護業務を効率化でき、結果的に医師や看護師が高齢者や患者と向き合う時間を増やすことができる。例えば、「在宅医療支援SaaS」を使えば、訪問スケジュールを自動作成したり、位置情報を基に緊急往診を指示すべき医師を即座に検索したりできる(写真)。「在宅チームケアSaaS」を使えば、在宅医療・介護チーム内の電話や電子メールによる連絡の負担を軽減したり、伝言ミスなどによるトラブルを防いだりできる。

 今回提供するSaaSやコンタクトセンターサービスは、在宅医療・介護サービスを手掛ける医療法人社団 鉄祐会 祐ホームクリニックの協力を得て、約2年間の実証実験を経て商用化にこぎ着けた。クラウド上でデータを集中管理することで、「患者情報の保護といったセキュリティを高めつつ、複数のスタッフや事業者間で手軽に情報を共有・連携できるようにした」(富士通の阪井洋之 ソーシャルクラウド事業開発室長)。

 クラウドサービスの価格と提供開始時期は次の通り。「在宅医療支援SaaS」は月額7万円(5ユーザーID)からで、1月23日から提供を開始。「在宅チームケアSaaS」は月額7万円(10事業所)からで、2013年5月から提供する。いずれも初期費用30万円が別途必要である。「在宅医支援コンタクトセンターサービス」は月額10万円(患者数50人)からで、1月23日から提供する。