写真●討論の様子。左から順に統計数理研究所の丸山氏、経済産業省の佐脇氏、NTTドコモの松木氏、ブレインパッドの草野氏
写真●討論の様子。左から順に統計数理研究所の丸山氏、経済産業省の佐脇氏、NTTドコモの松木氏、ブレインパッドの草野氏
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 日本経済新聞社が2013年1月21日に都内で開催した「新春日経マネジメントフォーラム ビッグデータで実現する企業・社会の新価値創出」において、「ビッグデータ活用による新たな価値創出に向けて」と題したパネルディスカッションが行われた(写真)。

 ビッグデータの盛り上がりがこのまま継続するかやや危ぶみながらも、利活用が期待される産業や、今後重要になる役割などについて活発に討論した。

 パネリストは3人。経済産業省商務情報政策局情報経済課課長の佐脇紀代志氏、NTTドコモ法人事業部・法人ビジネス戦略部長の松木彰氏、データ分析事業などを手がけるブレインパッド代表取締役社長の草野隆史氏。モデレータは情報・システム研究機構 統計数理研究所副所長教授の丸山宏氏が務めた(写真)。

仮説力が今後の鍵、分野ではヘルスケア、農業に期待

 まず、黎明期にあるビッグデータの取り組みがこのまま順調に盛り上がり続けるのか、いったん冷え込む可能性もあるのかについて議論した。これについては、ブレインパッドの草野氏が「ベンダーのスキルや、経営者の理解がかみ合っていない」ことを理由に、失望される局面を迎える可能性を指摘。NTTドコモの松木氏は「仮説を作れない領域では失望が生まれるかもしれない」、経産省の佐脇氏は「失望しないためには、仮説を作れること、仮説を裏切る結果が出てもそれに耐えて活用に取り組み続けられるかどうかが大事」と、異口同音に「使い道の仮説力」がビッグデータ動向の鍵を握るとした。

 ビッグデータ活用が特に有望そうな領域についても話し合った。NTTドコモの松木氏と経産省の佐脇氏は「ヘルスケアと農業分野は可能性が大きい」と見解が一致。これに付け加えてNTTドコモの松木氏はエンターテインメント施設のリピーターを増やすなどの領域についても注目しているとした。