写真●ニセコ町長の片山健也氏(中央)
写真●ニセコ町長の片山健也氏(中央)
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 シスコシステムズやNTTグループ、ナビタイムなど7社は2013年1月21日、ニセコ町、北海道大学と共同で、スキー場における無線LANとGPSを利用した実証実験を開始したと発表した。ニセコビレッジスキーリゾートのスキー場内で、無線LANサービスやスキー場専用のスマートフォンアプリを提供し、利用者に対する情報提供や、利用ログによる行動分析を行う。実験に参加するのはシスコ、ナビタイムのほか、NTT東日本、NTTコミュニケーションズ、協和エクシオ、ニセコビレッジである。

 自然公園でもあるスキー場内は、自然保護のために敷地内の光配線工事が難しい。このためシスコシステムズが長距離無線通信機を提供した。麓に設置した親局から3.3km離れた山頂ゴンドラ駅まで無線LANをこの長距離通信機でブリッジ接続してエリアを構築した。無線LANアクセスポイントには着氷、着雪しにくい加工を施し、冬季の屋外における耐風雪性能を検証する。

ナビタイムは1月19日にiOS端末向けに「ニセコゲレンデMAPアプリ」の配信を開始した。無線LANとGPSデータを使ってスキー客向けにゲレンデ内の位置情報を提供するほか、なだれ情報や、スキー場内の滑走ルールなどの情報を配信する。

 また、アプリ利用者には属性情報を登録してもらい、許諾を得た利用者の行動ログを取得する。そのデータを北海道大学と共同で分析し、スキー場内の事故防止やマーケティングに活用する。アプリは日本語、英語、韓国語、中国語の4言語に対応する。

 海外からの観光客が多いニセコビレッジスキー場では、日本で利用できる安価な無線通信手段の選択肢が少ないため、無線LANサービスや、多言語での情報配信サービスへのニーズが高かった。1月19日に開いた実験開始のセレモニーでニセコ町長の片山健也氏は「世界でもこのようなアプリやインフラを提供しているリゾート地は少ないと聞いている。いち早くICTによる安心・安全な利用環境を提供することで世界に誇れるリゾート地としてのブランドを確立したい」と実験への期待を述べた(写真)。