写真●NECグループ企業が製造する海底光ケーブル
写真●NECグループ企業が製造する海底光ケーブル
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 NECは2013年1月17日、リアルタイム処理による毎秒1テラビット(テラは1兆)の大容量信号で5400キロメートルの長距離通信に成功したことを発表した。100ギガビットのサブキャリア信号を高密度で重ね合わせることで1テラビット分の「スーパーチャネル信号」を生成し、光ケーブルを通して5400キロメートルの距離を伝送。重ね合わせた信号をリアルタイム処理し、エラーなく通信完了できることを実証した。

 このクラスの大容量・長距離通信の実験成功は世界初だという。大容量動画配信やクラウドコンピューティングの普及などで、海底ケーブルを使った国際通信ネットワークの需要は急増している。NECはこの分野で世界トップクラスのシェアを握る(写真)。新技術が実用に向けて大きく前進したことを受けて、通信事業者などへの営業活動を強化。今後新たに敷設される海底光ケーブルによる通信ネットワークへの採用を目指す。

 NECの実験では、信号の波形(スペクトラム形状)を細かく調整して伝送による信号劣化を抑えたり、歪みをデジタル回路で補正したりする手法を適用。数千キロ単位の長距離通信でもエラーが発生しない技術を確立した。現在主流である100ギガビット信号を使った光ケーブル通信ネットワークに比べて、周波数利用効率(通信容量)を約43%向上できるという。

 5400キロは東京・シンガポール間や、ニューヨーク・ロンドン間などの距離にほぼ相当する。新技術を大陸間を横断する海底ケーブルに適用すれば、大都市を高速で直結しやすくなる。

[NECの発表資料]