写真1●SPARC M10-4Sの外観と、システムプロダクトビジネス部門長の豊木則行氏
写真1●SPARC M10-4Sの外観と、システムプロダクトビジネス部門長の豊木則行氏
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写真2●SPARC M10-4の内部構造
写真2●SPARC M10-4の内部構造
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 富士通は2013年1月18日、業務アプリケーション用途の汎用UNIXサーバー機「SPARC Mシリーズ」の後継機「SPARC M10」(3機種、写真1写真2)を発表した。CPU当たりの性能を7.5倍に高めたほか、ハイエンド機種「M10-4S」では以前の4倍となる1024コアまでスケールアップできるようにした。「M10-4S」の出荷は1月末から。きょう体の増設によるスケールアップ非対応の2機種は、1月上旬に出荷を開始している。

 CPUを刷新したUNIXサーバーの最新機種。前世代の4コアCPU「SPARC64 VII+」(2010年提供)を搭載した従来モデル(5機種)を、現行世代の16コアCPU「SPARC64 X」を搭載した新モデル(3機種)へと置き換えた。これにより、コア数が4倍になった。主な特徴は、CPU単体性能を高めたこと、CPUのエラー検知/訂正機能を強化して安定稼働を追求したこと、ハイエンド機種である「M10-4S」でスケールアップの拡張性を高めたこと---である。

 新モデル3機種の概要は以下の通り(価格は税別の最小構成)。きょう体増設によるスケールアップを利用できない基本構成の機種は二つある。(1)下位機種「M10-1」(220万円)は、1CPU(16コア)とメモリー512Gバイトを搭載した1Uラックマウント型。(2)上位機種「M10-4」(571万円)は、4CPU(64コア)とメモリー2Tバイトを搭載した4Uラックマウント型。これら2機種の性能をさらに拡張するためには、ミドルウエアや業務アプリケーションの工夫によって並列処理(スケールアウト)させる必要がある。

 (3)ハイエンド機種「M10-4S」(1517万円から)は、1台当たりの性能はM10-4と同一だが、これを最大16台までSMP(対称型マルチプロセッシング)構成で拡張できる。最大構成時には、64CPU(1024コア)とメモリー32TバイトのSMP機になる。異なるきょう体同士のCPUバスをつなぐインターコネクトは富士通独自(帯域は14.5Gビット/秒)で、きょう体4台まではケーブルで直結、5台以上は専用のクロスバースイッチ経由で接続する。

 CPUライセンスは2コア単位で購入/拡張できる。動作を保証するOSは、Solaris 8/9/10/11。領域の分割方法は、きょう体単位の物理パーティショニング、論理パーティショニング(Oracle VM)、Solaris 11のOS領域を仮想分割するSolaris Zone、---の3種類を利用できる。

SPARC64 XでCPU当たり整数演算性能を7.5倍に向上

 新たに搭載したCPUのSPARC64 X(16コア、3.0GHz、28nm設計)は、従来モデルが採用していたSPARC64 VII+(4コア、3.0GHz)との比較で、整数演算性能が7.5倍(コア当たり1.9倍)に向上した。SoC(システム・オンチップ)と水冷技術によって1個のCPUに16枚のDIMM(メモリー)を直結できるようにしたことで、メモリーアクセス性能も高めた(64CPU構成時に4002Gバイト/秒)。

 さらに、CPUのチップ上に、データベース処理でよく使うソフトウエア機能を搭載した(ソフトウエア・オン・チップ)。これにより、例えば10進演算なら430倍、値の比較なら15倍に高速化する。データベース管理システムの「Symfoware」と「Oracle Database」で同機能を利用できるようにする。

 新CPUでは、エラーを検出または修復可能な領域を増やしたことで、信頼性も高めた。例えば、キャッシュ部品のほかにレジスター部品もECC(データにECCコードを付加してエラーを検出/訂正)機能を備えたほか、演算器についても、演算器の出力結果を予測してパリティ同士が一致するかどうかを突き合わせるパリティプレディクト機能を搭載した。